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ISASメールマガジン

ISASメールマガジン 第71号

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ISASメールマガジン   第071号       【 発行日− 06.01.17 】
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★ こんにちは、山本です。
 月曜日にISASに出勤してきたら、本館の前の「ソメイヨシノ」の花芽がずいぶんと膨らんでいました。週末の雨と気温の上昇が春を少し呼び寄せたのでしょうか。1月半ばでは、本当の春はまだまだ先ですね。
 今週は、システム運用部の関 妙子(せき・たえこ)さんです。

── INDEX──────────────────────────────
★01:ドンガラ出張記
☆02:イトカワ着陸点名は「はやぶさポイント」に!
☆03:ASTRO-Fフライトオペレーション始まる
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★01:ドンガラ出張記

 今年の冬は例年にない寒さとなっていますが、その寒さがまだ本格化する前の昨年12月上旬、オーストラリア西海岸沿いのドンガラ(Dongara)へ出張する機会がありましたので、ご紹介したいと思います。

 「ドンガラ」日本語の感覚では思わず笑ってしまうような変わった地名ですが、オーストラリア先住民のアボリジニーの言葉で「アザラシの集まる場所」という意味があるそうです。出張メンバー5名中、私を含む4名は初オーストラリア入り。カンガルー見られるかな、エミューはいないかな、と期待を抱きつつの出発でした。

 出張の目的は、ソーラーセール(宇宙空間で太陽の光を受けて推進する技術)実験の事前試験を行うためです。(ソーラーセールについては、メールマガジン11、40号でも紹介されています。)次の実験ではオーストラリアにある受信設備を使用するので、本番前に一度、確認試験を行う必要があります。そのための機材を日本から持ち込んでの出張となりました。

 ドンガラへ行くには、まず、西オーストラリア州都のパースを目指すのですが、我々の出発日にパース行きの直行便は出ておらず、少し遠回りですがマレーシアを中継しオーストラリアへ入国しました。南半球はちょうど初夏にあたる季節。さぞ暖かいだろうと薄着で乗り込みましたが、日差しの強さに反して気温は涼しく、日が落ちると肌寒ささえ感じられるような天気でした。

 ドンガラは、パースの約360km北に位置しています。東京ー仙台間の距離と同じくらいでしょうか。レンタカーに乗ってひとたび郊外に出ると景色は一変し、山一つなく、地平線が望める広大な草原の風景が広がりました。この中を、制限速度の110kmでひたすら走って行きます。幸い、カンガルーが飛び出してくることもなく、タイヤがバーストすることもなく、休憩で車を降りるたびに群がってくる蝿に悩まされつつも、無事ドンガラに辿り着くことができました。

 現地の技術者の方と合流し、さらに内陸へ移動すること1時間。サバンナのど真ん中のような場所に、直径13mのアンテナと小さい局舎が建っています。受信局というのはたいがい人里離れた場所にあるのですが、ドンガラ局もまたそうでした。普段は無人で運用しており、アメリカから遠隔操作でオペレーションを行えるのだそうです。肝心の確認試験は、ドンガラ到着の翌日に行いました。ここでのスケジュールを丸一日とってあったのですが、試験は順調に進んで夕方前には全て終了し、本番時のデータ取得に問題がないことが確認されました。

 夜は、現地の技術者と局を管理している米国の技術者の二人を交えてバーベキューを楽しみ、翌朝はホテルのオーナーにロブスター漁に連れて行ってもらうなど、プチ国際交流も実現しました。

 振り返ってみれば、ドンガラに滞在したのは2日足らず、それ以外はひたすら移動というハードなスケジュールでしたが、オーストラリアの壮大な風景のおかげでしょうか、ストレスや疲れはあまり感じずに一週間の出張を終えたのでした。


(関 妙子、せき・たえこ)

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※※※ ☆02以降の項目は省略します(発行当時のトピックス等のため) ※※※