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ISASメールマガジン

ISASメールマガジン 第70号

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ISASメールマガジン   第070号       【 発行日− 06.01.10 】
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★ こんにちは、山本です。
 2006年最初のISASメールマガジンです。松の内も過ぎてしまって、正月の挨拶も何か変ですね。ということで、いつものようにお届けします。
 今週は、広報委員長の的川泰宣(まとがわ・やすのり)さんです。

── INDEX──────────────────────────────
★01:新年のご挨拶
☆02:S-310ロケット36号機、1月18日に打上げ予定
☆03:ASTRO-F衛星、内之浦へ
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★01:新年のご挨拶

 明けましておめでとうございます。年末年始、少しはゆっくりと過ごされましたか?

 昨年暮れには、2月に打ち上げる予定の赤外線天文衛星ASTRO-Fが、相模原のキャンパスを出発し、内之浦に運ばれました。いよいよ現地で最後の準備に入っています。宇宙研の衛星は1月や2月に打ち上げるものが多く、それらは内之浦で年越しをするのですが、それにともなって必ず何人かの人間が内之浦で過ごします。

 約20年前、1984年の暮れから1985年の年始には、1月はじめの打上げを控えて、実験班の全員が内之浦に集結したことがありました。ハレー探査試験機「さきがけ」の発射のためでした。家族から離れて内之浦に来ている人が大部分ですから、何だか雰囲気がむずむずしていました。大晦日には、誰の発案だったか、「ロケット」という名のバーで大カラオケ大会が開催されました。こんなに陽気に騒いでいていいのだろうかというぐらいの盛り上がりを見せ、一気に「史上初の固体燃料ロケットによる地球重力圏の脱出」へと突っ走りました。

 当時、アメリカの友人たちからは「固体燃料のロケットで惑星探査なんて無茶だ」と心配されたものです。打上げ後日本から見えなくなった後の追跡をお願いしたカリフォルニア・パサデナのジェット推進研究所(JPL)とは、内之浦とホットラインが結ばれ、向こうのアンテナが「さきがけ」の電波をとらえ次第、教えてくれる手はずになっていました。後に私の親しい友人になる Len Efron という男が「なあに、いつ信号が入ってくるか、知れたものではないよ」と、タカをくくって待っていたところ、「さきがけ」の電波がわずか2秒遅れで入感したそうです。「正直言って脱帽だったね」とは彼の弁です。

 昨年「はやぶさ」が小惑星イトカワへの着地を果たした時、アメリカ惑星協会(The Planetary Society)の事務局長 Lou Friedman が寄せてくれた メールの中に“Hat off!”という言葉を見つけて、20年前の Len Efron の言葉を懐かしく思い出しました。

 今回の「はやぶさ」が多くの人々をハラハラドキドキさせたことはお聞きのとおりですが、この数ヶ月で宇宙科学研究本部を中心とする日本の若手エンジニアたちが積んだ経験は、日本の宇宙活動への、何ものにも代えがたい2005年のクリスマス・プレゼントになりました。世界の惑星探査に小天体探査の新たな地平を開いただけでなく、私たちのルーツを理解するための重要な端緒となる成果を収めることができたと言えます。

 他の天体に降り立って探査するという手法、他の天体からサンプルを採取して地球に帰還するという手法に明るい展望を作っただけでなく、今回の七転び八起きの最中に起きた数々の困難を乗り越えるプロセスで示された驚異的な粘りと負けじ魂が、多くの人々に与えた感動は、たくさんの励ましと感謝のメールとなって届きました。翻ってそれらは私たち宇宙科学研究本部の者を力づけ、今後の大きなパワーに変換されることでしょう。

 「はやぶさ」の苦闘はつづきますが、とりあえずの主役はASTRO-Fになります。みなさまからいただいた宇宙への熱い想いを、今年はさらに私たちの前進のエネルギーにして頑張ります。どうかよろしくお願いします。


(的川泰宣、まとがわ・やすのり)

  ASTRO-Fについては
新しいウィンドウが開きます http://www.ir.isas.jaxa.jp/ASTRO-F/Outreach/index.html

 「はやぶさ」最新情報
http://www.isas.jaxa.jp/j/enterp/missions/hayabusa/today.shtml

 「はやぶさ」プロジェクトのページ
新しいウィンドウが開きます http://www.hayabusa.isas.jaxa.jp/j/

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※※※ ☆02以降の項目は省略します(発行当時のトピックス等のため) ※※※