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ISASメールマガジン

ISASメールマガジン 第41号

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ISASメールマガジン   第041号        【 発行日− 05.06.14 】
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★ こんにちは、山本です。
 梅雨に入った相模原は、毎日蒸し暑い割には、もう中休みといった感じで強い日差しが降り注いでいます。雨傘より日傘の方が必需品です。気象庁の予報では、平年並の雨量が予想されていますが、果たして予報が当たるでしょうか?
 さて今週は、赤外・サブミリ波天文学研究系の村上 浩(むらかみ・ひろし)さんです。

―― INDEX――――――――――――――――――――――――――――――
★01:宇宙でも天気予報?
☆02:『きみっしょん』募集締め切り迫る。(6/20)
☆03:宇宙研一般公開(7/23)
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★01:宇宙でも天気予報?

 この原稿を頼まれて、ずるずると書くのをさぼっているうちに、関東では今年初めて台風(4号)も来ましたし、週間天気予報にも雨マークが並んで、いよいよ梅雨に入ってしまったようです。暑くないのは助かりますし、宇宙科学研究本部にはアジサイが沢山植わっていて、雨の季節も決して悪くはありません。ただし、雨や台風の季節は、やはり心配の多い季節で、それは人工衛星にとっても同様です。雷が鳴ると、落雷で開発中の衛星や試験設備に被害が出るのを真っ先に心配しますし、衛星の打上げが近づくと、天候は大変気になります。台風で打上げが何日も遅れるようなことになると、射場での作業も大変ですし、経費の面でも頭の痛いことになります。この夏のASTRO-EIIやALOS衛星の打上げも無事に済んでほしいものです。衛星やロケット自身だけでなく、台風で地上受信局が被害を受けると、既に打ち上げられて稼働中の衛星へのコマンド送信やデータの受信にも影響が出たりするので、これも気になります。

 天気と言えば最近では、情報通信研究機構から宇宙天気予報というのも出されています。太陽表面での爆発現象(太陽フレア)があると、地上でも磁気嵐で通信等に被害が出ることがありますが、人工衛星も太陽から飛んできた粒子で半導体部品に損傷が起きることがあります。そこで、太陽フレア等の情報がいち早く流れるようになっているのです。将来地球磁気圏や大気で守られていない月面等で多くの人が生活するようになったら、ちょうど台風や集中豪雨の情報のように、日々の太陽の活動に気を使いながら暮らすことになるのでしょうね。

 何年か後には、金星にも探査機を飛ばす計画が進んでいますが、金星では、大気が金星自身の自転よりもずっと速く流れていて、また地表の気温は数百℃、気圧は100気圧に近いのだそうです。こんなところでは、どんな気象がみられるのでしょうね。火星を初めとするいくつかの惑星や衛星には、生命が見つかるのではないかと期待されていますが、それらの生命も、その惑星や衛星の気象に影響を受けながら生きているのでしょうか。また最近では、太陽以外の遠くの星のまわりにも、惑星が回っている証拠が見つかってきています。これらの惑星はどんな世界なのでしょう。もし高等生物がいたら、やっぱり雷や台風を心配しながらくらしているのでしょうか。もしそうだったら、初対面のときに、地球人同士と同じように、まずはお天気の話でもすることができるのですが。

(村上 浩、むらかみ・ひろし)

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※※※ ☆02以降の項目は省略します(発行当時のトピックス等のため) ※※※