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ISASメールマガジン

ISASメールマガジン 第36号

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ISASメールマガジン   第036号        【 発行日− 05.05.10】
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★ こんにちは、山本です。
 GW(ゴールデンウィーク)も終わってISASにいつもの日常が帰ってきました。先日メールマガジン宛に『はやぶさ』は今何処を飛んでいるのか?という質問が来ました。【ISASニュース】では、今秋の『イトカワ』到達に向けて『はやぶさ近況』を1月号より連載中です。
新しいウィンドウが開きます http://www.isas.jaxa.jp/ISASnews/
但し、3月・4月と特集号が続きましたので、未だ2回分しか記事がありません。これからは、はやぶさグループと連携してISASホームページ上でも 『はやぶさ』の記事をいろいろ掲載したいと考えています。
 今週は、宇宙学校でお馴染の平林 久(ひらばやし・ひさし)さんです。

―― INDEX――――――――――――――――――――――――――――――
★01:消える定めが身の定め
☆02:「第4回 君が作る宇宙ミッション」参加者募集!
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★01:消える定めが身の定め

 この3月に、宇宙科学のそれぞれの分野を代表されるような先生方が、定年で退官された。
 X線分野でコンパクト星の長瀬先生、赤外線観測の松本先生、月惑星科学の水谷先生、ロケット推進系の高野先生。直接研究面での交渉はなかったが、こうもそうそうたる皆さん揃ってしまうとさびしい。
 超多忙な宇宙研勤務が終わると、どんな生活になるのだろう。

 そういう自分も2年後に消える定めにある。「はるか」を使ったスペースVLBI計画の内示があった1988年12月に、野辺山から淵野辺に移動した。翌年からのプロジェクトスタートの平成の年月とともに、過ぎてみるとただただおどろく夢中の月日であった。あとの2年など、瞬時に過ぎ去るやも知れない。(これを「早退論的時間効果」と呼ぼう)

 定年後、何をしようか。この頃、いろいろと夢想するようになった。なんでもありと自由に考えると、人生を永く過ごしてきた割には、将来の見えない高校生時代のような感じを味わっている。

 羅列的に浮かぶのはこんなことだった;
 リスクがあっても、面白い小型研究テーマをつくろうかな。
 物理や関連学際分野など勉強し直して、迷講義を準備しよう。
 特徴のある自分流の本を書こう。
 大好きな自然のなかで、いっぱい、過ごすんだ。
 剣道の稽古に励もう。
 ……とか、なんとか………

 しかし、これでは、希望の羅列であって……しっくりこない。月並みで恥ず かしくなってくる。
 そこで、これらを合成してこう考えたりもする。
 電車で2、3時間でいけるような田舎住まいを考える。近くに山、道場、温泉があるべき。ずるいけど、現在の拙宅も手放さない。好きなテーマの研究や情報交換は、ワイドバンドの通信で足るようにする。知的でこころよいつながりをつくろう。学びあい、鍛えあうこともしよう。山中で働いて、山を生き返らせよう。林業行政の破綻を、若い人たちも一緒になって労働し、下から軌道修正させよう。山の中で飲もう。気のあった仲間と自由な場、道場をつくろう……。春風道場とも、天然塾とも、仙人庵とも、自然に名前ができるだろう。

 かつて、自分は、東京天文台の野辺山宇宙電波観測所時代に、奥秩父の山中の小屋に独りで住んだ時期がある。満月の夜に山中を歩き、岩の上で月を眺め、誰も歩かぬ道を独りで尾根伝いに小径をつくったりしていた。闇夜はさびしく恐ろしく、満月の夜は気持ちが浮き立つ山の中だった。沢の水を飲んで暮らした。自然の中に住むことは、いずれこの世から去って自然にもどる習いでもある。

 いろいろ夢想しているうちに、2、3の原則が浮かび上がってきた。
 自分らしいこと。楽しむこと。できたら、なんとか、世のためになること。
 さらに考える。自分らしい自分って何なのさ?

 2年後、自分は、すでに1年先に亡き(って、ほんとに亡くなるわけでは決してない!)的山、御山、藤腹先生たちの跡を追って、向居、下杉、菜取先生(仮名にして伏せても、本名が浮かびあがってしまう立派な研究者たち)の後塵を拝して消える。
 しかし、消えるのでない。ふ、ふ、ふ、本来の自分に生まれ変わるのよ。


(平森 廂  (平林 久、ひらばやし・ひさし)

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※※※ ☆02以降の項目は省略します(発行当時のトピックス等のため) ※※※