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ISASメールマガジン

ISASメールマガジン 第23号

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ISASメールマガジン   第023号        【 発行日− 05.02.08】
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★ こんにちは、山本です。
 今年もインフルエンザが流行り出しているようです。私の周りでも2月に入って4人も仕事を休んでいます。皆さんも、早めの休養が大事に至らないポイントですよ。メイン以外は先週と同じでは?と思われた方、正解です。担当が風邪で苦し紛れの編集です。早めの休養のため??です。
 今週は2回目の登場。 宇宙情報・エネルギー工学研究系の朝木義晴(あさき・よしはる)さんです。

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★01:「宇宙科学」を斬る!
☆02:Webで読む「ISASニュース」
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★01:「宇宙科学」を斬る!

 電波天体物理の朝木です。前回は「きみっしょん」の話をしました。今回は 恐れ多くも「宇宙科学」を話題にします。

 昨年の10月から半年間、とある大学の一年生を対象に「宇宙科学」という講義をおこなってきました。宇宙研では「宇宙理学と宇宙工学を総称して宇宙科学」としています。「宇宙理学」とは、天体現象や、地球高層の希薄な大気、微小重力に代表される宇宙環境が生物に与える影響を調べる研究などがあります。後者は、ロケットや人工衛星、宇宙機との通信用地上設備の技術開発研究などです。まあ端的に言えば、地球の表面を離れるか離れないかあたりから外側が全て「宇宙科学」の研究の対象です。恐るべし、宇宙科学。

 宇宙研の人間が講師になる場合、これほど困惑させられる講義名はないかもしれません。かくして、この滅茶苦茶ワイドレンジな定義に従い、太陽系内の惑星、ブラックホール、ロケットや人工衛星の仕組み、地球外生命探査や宇宙環境が人体に及ぼす影響、そして宇宙開発などをテーマとして取り上げてきました。折に触れ、日本の宇宙政策の現状や最近の宇宙事業の失敗例なども紹介し、少々辛口のトークを盛り込んでみたりもしました。ブラックホールや地球外生命探査の話は人気がありましたが、一方、宇宙開発に対しては肯定、否定の意見双方が出て来るといったこともありました。これは、受講生全員が宇宙に関心が高いというわけではないことや、「宇宙事業はお金がかかる」という印象が強いためでしょう。他には、月や他惑星などでの乱開発を心配して宇宙開発に否定的になっているものもありました。私は、技術的、経済的準備が整わなくてもいずれ人類自身が宇宙に本格的に進出するのではないかと考えています。そのような時代の到来に備えて宇宙乱開発を起こさせない社会的な仕組みを今から考えることが必要ではないか…と講義の中でえらそうに話したり。

 経済的なことを度外視すれば、特殊訓練を受けていない人でも宇宙に行ける時代になり、宇宙はただ見上げるだけの存在ではなくなりました。また、GPS測位のような宇宙技術を生活の中で手軽に利用できるようになり、生活に浸透したものにもなりました。当り前に慣れてくると目新しさを感じなくなるのが人間です。講義を進めていて、宇宙科学研究者が宇宙への憧れや宇宙旅行の夢などを話しているだけでは、人類が宇宙へ乗り出す意義を感じとってもらうには難しくなってきているのかもしれないと感じたりもしました。

 さて、今年度の全講義が終了してほっとしつつ、来年度は何をテーマに話すか今から考えてしまいます。今年度はNASAの火星探査やカッシーニ土星探査機の話題を随分と出しましたが、次年度の柱は、「はやぶさ」の小惑星イトカワの到着や、これから打ち上げられるであろう日本の科学衛星でしょう。どのミッションも私が直接関わっているものではありませんが、やはり身内の自慢話ができるというのは非常に嬉しいものです。う〜ん、「『宇宙科学』に振り回された俺」という話になってしまい、結局何も斬ってないね…。

(朝木義晴、あさき・よしはる)

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※※※ ☆02以降の項目は省略します(発行当時のトピックス等のため) ※※※

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