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ISASメールマガジン

ISASメールマガジン 第22号

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ISASメールマガジン   第022号        【 発行日− 05.02.01】
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★ こんにちは、山本です。
 ISASニュース1月号のweb版をUPしました。発行部数が少ないのでwebで読んでいる人の方がずっと多いです。またPDF版もありますので、ダウンロードして印刷して読むことも可能です。
 今週も、システム運用部の加藤輝雄(かとう・てるお)さんです。クリスマス島出張記の後編です。

―― INDEX ――――――――――――――――――――――――――――――
★01:憧れの島クリスマス島出張記 その2
☆02:今週末です。「宇宙学校・東京」開催のお知らせ
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憧れの島クリスマス島出張記 その2

 クリスマス島はキリバス共和国の東端の島で、経度はハワイとほぼ同じである。ところが、ここだけ日付変更線が東に出っ張っていて、世界で一番早く夜が明ける。宿泊したホテルのベッドカバーには「世界で一番早く新世紀を迎える島」といった意味の言葉が刺繍してあった。新世紀を迎えた時はこの島も観光客で賑わったのかもしれない。

 クリスマス島の名前はキャプテンクックがクリスマスイブにこの島に上陸したことからその名があるという。人口は増加中とのことで、現在6,000人程度とのこと。島の面積は種子島と同じくらいである。陸地は島の周辺部分だけで、内側はラグーン(礁湖)と呼ばれる外海とつながった湖が無数にある。そのラグーンの一つに4輪駆動車で行くことができた。湖までの道は珊瑚の泥道で穴ぼこだらけである。湖は緑がかった薄い青色をして、魅惑的な雰囲気を漂わせている。帰ってから聞いた話では、このラグーンは一つ一つ色が違うという。もっと魅惑的な湖に巡り逢えたかもしれないのに、一つしか見られなかったのは残念であった。

 クリスマス島は島全体が椰子の木の林で覆われている、珊瑚の白い砂と、青い空との対比が大変美しい。青い海には、白い珊瑚の砂浜が続いている(テトラポットのような無粋なものは無い)。遠浅の海岸は、沖から大きな綺麗な波が押し寄せていて、どこでもサーフィンができそうである。ハワイのワイキキビーチよりずっと綺麗に思う(ホテルは別)。そんな海岸をおみやげ用の貝殻を拾いながら歩いた。一人で。珊瑚は島から持ち出し禁止だそうだが貝殻は良いのであろう。念のため、帰る時は、バックの奥にしまった。

 クリスマス島は12月〜2月が雨期にあたり、ちょうど雨期の始まりに行ったことになる。そのせいか、夜になると大きな音を立ててよく雨が降っていた。日中は殆ど晴れていて気温は32度をこえていた。太陽がギラギラと輝き地面の照り返しもすごい。それでも日陰は涼しく日本の夏より過ごしやすい感じであった。

 さて、ここでクリスマスダウンレンジ局について紹介する。建物は平屋コンクリートブロック作りで屋根は波板トタン葺き。こんな建物が5個ほどあり、どの建物も真っ白く塗られていて島の雰囲気にマッチしている。受信設備のある建物。我々のオフィース兼、食堂兼、宿舎の建物。自家発電設備のある建物。浄水設備やメインテナンス用機器のある建物。そして、この局を管理しているVCI社のオフィースのある建物である。これに、直径10mのパラボラアンテナ(ロケットテレメータ電波受信用)、インマリサットのアンテナ(主に電話用)、スーパーバードの通信用アンテナ(主にデータ通信用で可搬式)がある(アンテナ類も真っ白に塗られている)。それと300mほど離れた所にコリメーションアンテナ(10mアンテナの視準用送信アンテナ)用の高さ40mのタワーがある(このタワーだけは赤白塗装)。全体としてかなり立派な設備でありメインテナンスも非常に良く、海の近くに有りながら錆びの出ている箇所が全く無いのには感心した。この局は普段VCI社の常駐の人(米国人で島の女性と結婚してここに居る)一人と犬2匹(番犬)で管理されている。敷地は大雑把に見て50m x 70m程度で、珊瑚の白い砂利が敷いてある。局の敷地からは遠浅のとてもきれいな海が見える。海岸までの距離は50m程度で、海抜3mといったところであろうか。

 ホテルから局までは車で20分程度、道路の両側はどこまで行っても椰子の木の林である。椰子の木の緑と青い空とがとても美しい。この景色を見ながら6日間ホテルから局へレンタカーで通勤したのであるが、そのうち2回も椰子の木(椰子の実かもしれない)に見とれてか局を通り越してしまった(橋本、加藤の二人で前を見ていたのではあるが?)。局からの帰り道はこれまた大変で、夜になると大きな陸蟹(ランドクラブ:食べられる)が道路にいっぱい出てくる。この蟹を避けながら、時には満天の空の星を見ながら車を運転する。写真を撮ったり、蟹と戯れたり、行きも帰りも結構楽しんだ。
 かくして、憧れのクリスマス島の出張は終わる。仕事も朝早くから夜遅くまで楽しんだ。おかげで、ホテルで食事をする機会を逸した。飛行機で一緒だった別のただ一組の泊まり客によれば毎日同じような食事でサバイバル状態だったとか。それでもホテルでおすすめ料理のロブスターは食べたかった。

(加藤輝雄、かとう・てるお)

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※※※ ☆02以降の項目は省略します(発行当時のトピックス等のため) ※※※