宇宙航空研究開発機構 サイトマップ

TOP > レポート&コラム > ISASメールマガジン > 2004年 > 第15号

ISASメールマガジン

ISASメールマガジン 第15号

★★☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ISASメールマガジン   第015号        【 発行日− 04.12.14】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

★ こんにちは、山本です。
 ISASメールマガジンの配信数が年内に1000を超えそうです。配信数がもう一桁増えるのは何時になるんでしょうか? 頑張らなくては…
 今週は若手ではありませんが、帯広宇宙学校の報告をタウンミーティングの司会を担当された宇宙情報・エネルギー工学研究系の松平林 久(ひらばやし・ひさし)さんにお願いしました。

―― INDEX――――――――――――――――――――――――――――――
★01:帯広宇宙学校
☆02:「はやぶさ」のイオンエンジン、作動積算時間2万時間を突破!
☆03:S-310-35実験班・アンドーヤ便り
☆04:国際水星探査計画BepiColombo 探査機搭載観測装置が決定
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

★01:帯広宇宙学校

 「宇宙学校」という催しをもう何年しているのかなあ。今年は3回、帯広、倉敷、東京で行うことになっている。今のような形式は札幌で始めたような気がする。北海道での宇宙学校はこれで3回目、一回目は的川さんと朝早く市場にイクラ丼を食べに行ったし、2回目は一緒に鮭をみせてもらった。 ここしばらくは、3時限の「QアンドA」と映画のセットだったが、今年度は「タウンミーティング」という新しい試みを混ぜてみることになった。「タウンミーティング」、市民と語り合うというものだそうだ。今まで、宇宙学校は、「講演」から「QアンドA」へと変化し、ここで更に市民とのやりとりもとりいれようというわけ。

 今年度の一回目を飾る帯広。市民との対話を意識したポスターは、講師でもあった黒谷さんのデザイン。北海道の原に動物たちと子供たちが集まり、空には再使用型の実験ロケットがホバーリングしています。黒谷さんは、この季節の原っぱの色、山の雪などについても工夫を凝らしたので、十勝空港に降りたった時、「あ、黒谷さんの絵のとおりだ!」と納得。

 校長先生の的川さん、当日の朝食のとき、「あのね、バイキングで食べ過ぎないコツはね、美しく盛り付けることなんだよ」 でも僕の盛り付けのほうが清楚だったなあ。前日に成田から羽田経由で帯広入りの鶴田本部長、「宇宙学校って、むしろ私たちが皆さんから感じて学ぶ場なんですよね」と、いいことをおっしゃる。1時限目は、「はやぶさ」と電気推進の話をした矢野さんと清水さんの講師。2時限目は、太陽系外惑星と宇宙生命の話をした村上さんと黒谷さんペアー。それから、映画「M-V宇宙(そら)へ」、上映。

 3時限目が、2時間にわたるタウンミーティング。司会は平林、終始、市民の座るフロアーに立つ。鶴田本部長、的川校長と、4人の講師が壇上から市民に向かい合う。ある日であった人たちと話し合うといっても、たいしたことを深く論じ合うというわけにはいかない。結論をだすというものでもない。そこで、フロアからの話をふくらませ、正直に語り合った。矢野さん、発言した女性をみて、「あ、僕のおふくろが何でここにいるのかと思った!」などと言いだすものだから、会場は急速に家族的な雰囲気になってしまった。市民との対話はまだ試行段階。意義、目的、論ずべき中身は?大人が対象、子供も? しばらく試行しながら考えていく必要があろう。「司会の平林さんは駄洒落を言うので気をつけてください」なんて的川さんおっしゃったけれど、小心で執務に忠実な僕は、とても駄洒落なんて言えなかった。

 「QアンドA」は、やはりおもしろいものだと思う。回答者になるともっと真剣になる。TBSこども電話相談室に何度か出演したけれど、これは1分ほど前にディレクターが質問を選択して確認してから電話を待つが、宇宙学校ではごまかしがきかずにリアルタイムに進行する。質問者とレベルを合わせ、なによりも正しく的を射た回答には、高い研究者の質が問われる。冴えた答えは芸のうち。やりとりがおもしろいと、聴いて楽しい。

 回答者になると、あとで、反省がいっぱいある。こういう言い方がよかった。あ、まちがったこと、言ってしまった。思えば恥ずかしい。等など。。 それは、いわば剣道の立会いのようだ。剣道では打ちの前に静かな攻め合いがある。一瞬の冴えた技、打ちの美しさに人は酔う。これはできる人の場合。できない自分は、宿題だらけ。

 次は倉敷。黒谷さんが倉敷の街をイメージして、桃太郎一行が鬼さんたちと宇宙学校会場に向かうポスターをつくってくれた。倉敷にいったことのない筆者は、また、「あ、絵のとおりだ!」と、思えばいい。ここでは、倉敷出身の水谷さんが校長役。東京のポスターは、広重の梅林をイメージした黒重バージョンの傑作ができつつある。

(平林 久、ひらばやし・ひさし)

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
※※※ ☆02以降の項目は省略します(発行当時のトピックス等のため) ※※※