宇宙航空研究開発機構 サイトマップ

TOP > レポート&コラム > ISASメールマガジン > 2004年 > 第13号

ISASメールマガジン

ISASメールマガジン 第13号

★★☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ISASメールマガジン   第013号        【 発行日− 04.11.30】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

★ こんにちは、山本です。
明日からもう12月です。今年も慌ただしく終わりそうな予感が……
 今週は、高エネルギー天文学研究系の前田良知(まえだ・よしとも)さんです。

―― INDEX――――――――――――――――――――――――――――――
★01:レントゲンで探ろう天の川の中心
☆02: S-310ロケットを用いて、12月5日にノルウェーでオーロラ現象と大気の運動の観測を予定
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

★01:レントゲンで探ろう天の川の中心

夏の夜空を華麗に流れる天の川ですが、古くは七夕の夜に織姫と彦星の通り道として万葉集では盛んに話題にされていました。最近では都市部では見えませんが、人里遠く離れた地で夜空を見上げると,天を横切る美しい天の川を見ることができます。実は南半球ではこれからが見頃で、日本で見える天の川からは想像もつかない見事な大河が天空に広がっています。

この天の川の正体は銀河系です。銀河系は二千億個もの恒星が円盤状に寄せ集まった銀河です。我々の住む太陽系はこの銀河系の中心から約2万光年離れた端っこに位置しています。円盤を横から覗くことになるので、あたかも川のように見えるのです。

円盤状のものといえば、私は半径10cm弱の甘いゴーフルと言うお菓子が好物です。ピザやお好み焼きみたいに分割して食べるのではなく、そのまま縁からガブットかぶりつくのがたまらなくうまいのです。あまりに大きいので、一口目では円周部分をすこしかじって、小さな半円状の部分しか食べることができません。実はこのかじり撮った部分の大きさぐらいが地球から目で見える銀河系の領域に対応します。銀河系内に散らばる宇宙塵により中心部まで見通すことができないのです。ゴーフルも中心までたどり着くにはかなりガツガツほおばらねばなりませんが、銀河系の中心を見通すのも大変な苦労が必要です。

X線はこの塵の影響を受けずに銀河系を見通すことのできる光です。X線はレントゲン撮影に使われている光で、人間の内臓や骨を透かしてみることができます。銀河系中心では、太陽の重さの3百万倍もの大質量ブラックホールをはじめユニークな自然現象が満載で、私もファンの一人です。

宇宙からのX線は銀河系は貫くのですが、地球大気では吸収されます。したがって、人工衛星に観測装置を載せて大気より上から観測しなければなりません。宇宙研でもX線天文衛星Astro-EIIを次期科学衛星としてラインナップしています。数年に渡った衛星の製作も大詰めを迎えています。いろいろ問題点は発生しましたが、大学関係者やメーカーの方々と力を合わせ、連日連夜の地道な努力を行い、一つ一つ問題を乗り越えてきました。
おかげさまで年内でほぼ完成しそうです。M5ロケットで打ち上げるのを今か今かと胸を時めかせている毎日です。

Astro-EII衛星の概要は
新しいウィンドウが開きます http://www.astro.isas.ac.jp/astroe/index-j.html

Astro-EII 打上げ延期のニュースは
http://www.jaxa.jp/press/2004/10/20041027_sac_astro-e2_j.html

(前田良知、まえだ・よしとも)

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
※※※ ☆02以降の項目は省略します(発行当時のトピックス等のため) ※※※