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ISASメールマガジン

ISASメールマガジン 第9号

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ISASメールマガジン   第009号        【 発行日− 04.11.02】
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★ こんにちは、山本です。
 今週は、システム運用部(ISAS広報併任)の周東三和子(しゅうとう・みわこ)さんです。
 10月22日にNPO法人日本惑星協会の「wakuwakuメール」で、このISASメールマガジンが紹介されました。送信から1時間で100名以上の方がISASメールマガジンに登録され、10月末で登録者が600名を超えました。
 ありがとう!「wakuwakuメール」

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★01:16ミリフィルムは宝の山
☆02:ASTRO-EII/M-Vロケット6号機の打上げを来年度に延期
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★01:16ミリフィルムは宝の山

 宇宙科学研究本部の前身の、前身の、そのまた前身の東大生産技術研究所で糸川英夫教授たちが、人間を乗せて宇宙を飛び回るロケットを夢見て、長さ23cmのペンシルロケットを飛ばしたのは今から49年前。東京都国分寺市の工場跡地での水平試射実験の様子は、16ミリフィルムに記録されて、宇宙研に保管されています。以来、数々の基礎実験やロケット打上げの様子が16ミリフィルムに記録されてきました。最近はデジタルビデオにその席を譲っていますが、ミューロケットの打上げや地上燃焼試験では、未だに30数年前に購入された16ミリカメラが活躍しています。そんなわけで、これまで取りためたフィルムは膨大な量となり、記録映画として日の目を見なかったたくさんの記録が残されているのです。

 このフィルムを整理し、アーカイブスとして使えるようにしようと数年前から作業を始めました。まず、相模原で保管していた昭和38年以前のフィルムを、清掃、チェック、内容の書き出しを元カメラマンに手伝ってもらって、中味がすぐ見られるようにビデオテープにしました。道川実験場の掘建て小屋のような実験棟、砂浜をロケットを抱えて運ぶ姿や、背広にコート、帽子姿の一団の視察風景、海岸の洞穴での燃焼試験、鹿児島県内之浦のロケット打上げ基地の建設風景...。そこには若き日の先輩たちが、いきいきと動き回っていました。

 これは、宝の山に違いない。相模原に保管してあった分は150巻ほどですが、長年16ミリでの記録撮影を一手に引き受けていた映画会社の倉庫からも、フィルム類を全部引き上げてきました。倉庫から運んだのが700巻弱、1部屋の半分を占領してしまいました。これを全部整理して、バラバラのものをつないだり、捨てたり、選別したりして、データベースを作るのには、いったいどれだけの時間が必要なのでしょう。フィルムの入ったアルミ缶の山を眺めて、思わずため息が...。

 日本初の人工衛星「おおすみ」の打上げに参加した最後の世代が、後2〜3年で現役を退きます。倉庫から戻ってきたフィルムは、中味の取捨選択、整理とリスト作りが始まったばかりです。せめて、多少はフィルムに写っている方たちのことを聞き知っているメンバーがいるうちに、なんとかデータベース作りのメドを立てたいものです。汗と涙とチームワークで、最先端の宇宙科学を支えてきた多くの先輩たちの足跡が、映像の形で残せるよう、ピッチをあげて取り組もうと思います。

(周東三和子、しゅうとう・みわこ)

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※※※ ☆02以降の項目は省略します(発行当時のトピックス等のため) ※※※