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ISASメールマガジン

ISASメールマガジン 第2号

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ISASメールマガジン   第002号        【 発行日− 04.09.14】
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★ こんにちは、山本です。
 今週は早速若手の登場です。宇宙情報・エネルギー工学研究系の朝木義晴(あさき・よしはる)さん。先週『また来週』とお約束した的川広報委員長は、海外出張中です。


―― INDEX――――――――――――――――――――――――――――――
★01:「きみっしょん」を大いに語る!
☆02:展開型柔構造による大気突入飛行体の自由飛行実験
☆03:「宇宙学校・おびひろ」開催
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★01:「きみっしょん」を大いに語る!

第1号の予告よりは少し早めに登場した「若者」ですが、私自身は人類が月面に最初の足跡を残す少し前の1968年生まれですので、若者と呼ばれるには少し苦しい年齢です。私の研究活動の軸は、電波天体物理学です。宇宙の天体からは可視光だけでなく、赤外線やエックス線など、様々な電磁波が地球にやってきています。天体の中には強い電波を出すものがあり、しかもそれらは銀河中心の巨大ブラックホールや恒星の終末段階など、特異な現象を反映しているものが多くあります。そんな天体からの光なき電波をとらえ、宇宙の様々な謎を解明したいという願望が私の研究活動の柱です。

私は今年の夏、はじめて宇宙研の「きみっしょん」に参加しました。「きみっしょん」とは「『君』が作る宇宙『ミッション』」の意味で、宇宙に高い関心を持つ高校生の皆さんが宇宙研で4泊5日の合宿を行い、自ら考えた惑星探査や宇宙からの天文観測のアイデアをなるべく実現可能なレベルにまで高めていくという教育プログラムです。また、「きみっしょん」は宇宙研で研究活動を行う大学院学生が活動の主力となり、「きみっしょん」の運営や高校生達の議論の相手となって活躍するという、宇宙研内部の人間から見ておもしろい趣向をとっています。学生とは言っても彼ら彼女らこそ次の時代を担う本当の若手です。エネルギッシュな学生達の活動ぶりは、高校生の皆さんにとって間違いなく大きな刺激になったことでしょう。私はその様子を陰ながら見守るアドバイザーとして参加しました。

「きみっしょん」の総仕上げは、宇宙研の研究者達を聴衆にむかえての提案発表会です。高校生とは思えぬ堂々とした発表に驚かされましたが、それに応じるように聴衆からするどい質問が発せられました。しかし、そんな緊張した発表会の中でのおもしろかった一幕を御紹介しましょう。あるグループが火星の地下水を探すための穴堀りミッションを提案しました。穴堀道具は「カライドサイクル」を応用した装置を用います。この装置、文章で説明するのはちょっと難しいのですが、非常に巧妙な仕掛けを持ち、発表を聞いていた研究者達の大きな関心を呼びました。発表が終わって質疑応答となり、とある教授がこうコメントしました:「いやぁ、カライドサイクルはおもしろいアイデアです。ところで、井戸を掘ってもしそこから水が得られなかったら…。」

まさか、どう責任をとるのか、と!?

「…得られなかったら、その井戸は『空井戸(カライド)』といいますね。」
発表していた高校生達もこれには気が付いていなかったようで、意表をついた駄洒落に場内は笑いに包まれました。

「きみっしょん」は来年の夏も開催されます。宇宙科学の最先端の、その先を作り出したいとお考えの高校生の皆さん、「きみっしょん」に参加されてはいかがでしょう。次回参加者の募集は来春になります。「きみっしょん」についてさらに詳しくお知りになりたい方は下記のURLを御参考下さい。

新しいウィンドウが開きます http://www.isas.jaxa.jp/home/mission/

(朝木義晴、あさき・よしはる)


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※※※ ☆02以降の項目は省略します(発行当時のトピックス等のため) ※※※