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  • 観測ロケット実験

IOG

Ion Gauge,圧力計(IOG)

 本装置の目的は観測ロケットが飛行する熱圏下部領域において大気圧力の測定が可能な観測ロケット搭載用真空計の実現にある。観測ロケットの頭胴部に搭載し、ノーズコーンの開頭後に中間圏・熱圏を飛翔中に出来るだけ広い高度範囲で大気圧を測定する。観測ロケットに搭載する測定器の中には高電圧を使用するものがあるが、予想外の放電を引き起こさないよう高電圧をONするタイミングを決定する上でも頭胴部での大気圧の時間変化は貴重な情報となり、得られる圧力値は頭胴部における大気環境を表す重要なパラメータとして参照されるであろう。S-310-46号機に搭載されるIOGの計測では中性大気の圧力に加え、大気流入方向の解析が可能な真空計を搭載する。
真空度の測定子としてはキャノン・アネルバ製のクリスタルイオンゲージを用いている。この測定子は圧力範囲によりクリスタルゲージとミニチュアB-Aゲージが自動的に切り替わり、広い圧力範囲をカバーできる。真空計の測定子は2種類の異なる構造の容器に収納する。一つはメッシュでカバーされており、もう一つは開放部をもつ円筒型容器内に収納されている。後者の円筒型容器は気流入射方向と計測器軸とのなす角θに依存して測定圧力値が変化するように設計されており、測定圧力値からロケット上で真空計に流入する大気流の方向が推定できるようになっている。これらの2式のIOGシステムは、圧力値へのロケット構体の影響を可能な限り避けての計測が可能なようにノーズコーン開頭後に展開ブームにより機体側面から離して計測を行う。それに加えて、今回のシステムでは展開ブーム内に大気圧縮インテークの評価システムを組み込んでおり、将来のVLEO衛星用大気吸入イオンエンジン開発に向けての基礎データの取得も行う予定である。図1(a)に真空計2式と展開システム、(b)に電気回路部の外観を示している。電気回路部内にはクリスタルイオンゲージのコントロールボード3個が収納され、圧力を表す電圧を0~5Vに変換してアビオ二クスに出力する。


IOG

図1(a) IOG-S真空計システム(2式)と展開システム


IOG

図1(b) IOG-E電気回路部




IOG班

 イオンゲージ(IOG)班は、神戸大学の田川准教授・横田助手と宇宙科学研究所の阿部准教授のグループにより構成されており、地球高層大気密度を計測することを目標としている。

 学生メンバーは飛田奈々美(東海大)と熱田凛太朗、森脇岳斗、村田康貴(神戸大)、アドバイザとして北海道情報大学の渡部教授が参加している。

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