COLUMN
“研修の中で感じた観測ロケットプロジェクトとオペレーションの流れ
東京工業大学大学院 修士課程1年 田中颯
観測ロケット実験S-520-33号機の人材育成プログラムにて、研修に参加させていただいた東京工業大学の田中颯と申します。私は本研修にて、タイマ・点火管制班の一員としてISASで行われた噛み合わせ試験と、内之浦宇宙空間観測所で行われたフライトオペレーションに参加させていただきました。
タイマ・点火管制班での研修を通して私が強く感銘を受けた点としては、フライトオペレーション時における動き方についてです。ロケット発射までの3時間の間でタイマ・点火管制班の仕事の内容は、研修の中の座学や噛み合わせ試験、内之浦の射場で行った作業の数々の総まとめのような内容でした。管制の指示のもとで予定された作業時刻に対して正確に作業が行われている様子を追っている中で、各班の作業の内容が正確に伝わって来ました。さらに各班の作業に関してもその班の人たちで閉じて作業するわけではなく、その場に居合わせた人での重複したチェックを行いながら作業を進行していたのが印象的でした。それを通して、作業しているメンバー全員がそれぞれの仕事内容を理解しながら作業していることを実感しました。これは組織として非常に重要で理想的であり、オペレーションにおける柔軟性に繋がってくる要因であると思います。
本研修で得た知見と経験は、私の今後の研究生活に活かせるのではないかと考えています。私は現在衛星開発のプロジェクトに携わっていますが、観測ロケットグループの組織体系とメンバーの意識は見習うべき点が多くあると考えます。組織体系としては、上と横の広がりと各班のつながりのバランスが良いこと、メンバーの意識としては、全体を俯瞰して流れを見てプロジェクトの進行を考えることだと思います。
研修生の立場から見て観測ロケット実験Grの今後の課題を考えるとするならば、PIとCIの連携をより綿密に行うことであると考えます。私が本観測ロケットプロジェクトで実際の現場を見たのは8月の噛み合わせ試験からですが、そのタイミングにおいてPI側からの要求とCI側からの制限が噛み合ってない瞬間があったと覚えています。これに関しては事前のミーティングなどでコミュニケーションを取れていれば解決していた問題であったかもしれないと思います。
最後になりますが、本研修は私に取っての初めての経験ばかりで非常に有意義でした。本研修で支えてくださった皆様に感謝を述べると共に、観測ロケット実験の今後の発展を深く願っております。