• jaxa
  • 観測ロケット実験

COLUMN

実際の運用現場に係ることで得られたもの

宇宙航空研究開発機構 経営企画部 小山里美

 通常業務では様々な事業の報告資料と接している一方で、実際の運用現場の様子や事業がどのように進められているかについて接する機会がなかったため、自ら現場に入り勉強するにはこの機会しかない、実物に触れ学びたいという思いがあり観測ロケット打上げ運用研修に参加いたしました。研修では、羽生グループ長のご厚意で事務系職員でありながらロケット班の一員として嚙み合わせ試験から打上げに至るまでの機体の組立や運用を間近で見学する機会をいただきました。

 研修期間中は、なかなか学ぶ機会がなかったロケットの構造や燃料の仕組みといった技術的知識から、打上げにあたって必要な試験や組み立て・運用にあたっての企業(IA社等)とJAXAの役割分担等を実際の現場作業を見学しながら学び、大人数が関わる事業において、どのようにコンセンサスを取り、事業を進めていくのかといった流れなど様々な知見を深めることができました。

 観測ロケット実験は歴史が長い一方で各号機により搭載する実験機材が異なるため、頭頂部の構成は各号機オリジナルのもの、実験機材を扱う参加者が初参加の場合もあります。ロケットの構造や能力といった情報は専門性が高くアクセスしづらい情報といったイメージを持っていましたが、こちらのHPに掲載がありますがユーザーハンドブックとして実験計画を作成するにあたって必要な情報がまとめられており、より多くの方々へ利用されるロケットとなるよう工夫されていると感じました。また、研修当初に観測ロケットについての知見を深める段階においても活用させていただきました。現場においても、実際に組み立てを行う前に3Dプリンタで作成された実寸大模型用いた試作検討を行っていたり、ARモデルを作成されていたりと新たな技術も用いて観測ロケット実験に初めて参加される方や研修生も視覚的体系的に分かりやすいよう工夫されていたことが印象に残っています。

 組み立てが進んでいく様子を傍で見させていただいていたので、打上げが成功した後、何も残っていないランチャーを見たときには少し感傷的にもなりましたが、打上げの瞬間の映像や観測機器から送られてきた画像データを見させていただき、また、実験参加者の方々の成功をうけた満足そうな表情を見て、研修生の立場ではありますが、達成感を得ることができました。日々の業務の中では、このような大きな区切りや感情を得られる機会がなかなかないため、そういった点でも貴重な記憶に残る経験になりました。

 最後になりますが、他機関からの出向者という立場でありながら、研修参加できるよう調整いただいた上長、宇宙研科学推進部の皆様、そして受け入れていただいた観測ロケットグループの皆様、本当にありがとうございました。出向元に戻った後も、今回得られた知見を生かし、JAXAとよりよい協力関係を構築できるよう邁進していきたいと思います。

PUBLIC