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COLUMN

観測ロケット実験で学んだプロジェクトマネジメントの教訓

総合研究大学院大学 5年一貫博士課程3年
小松 龍世

 観測ロケットS-520-34号機実験に研修生として参加させていただいた、総合研究大学院大学の小松龍世と申します。実際の宇宙科学プロジェクトにおけるプロジェクトマネジメントを経験したいという思いから参加した本プログラムは、今後のキャリアやチーム活動において基礎となる考え方を学ぶ、大変貴重な機会となりました。

 私はプロジェクトマネジメントに強い関心を持っており、どのような意思決定やチーム構成がプロジェクトを成功に導くのかについて研修中に学び、今後の宇宙科学プロジェクトに活かしたいと考えておりました。私自身、プロジェクトやチーム活動でリーダーを務めた経験が多く、不測の事態に直面することが何度もありました。そのため、羽生宏人教授や荒川聡氏に、そうした場合にどのように対処しているのかを伺いました。

 彼らの回答は、「プロジェクトマネージャーは、現場と同じ時間軸にいないことが重要で、常に先を見据えて準備を進め、何か問題が生じた際に迅速に対応できるようにしておくべきだ」というものでした。この言葉には非常に感銘を受けました。これまで自分がリーダーを務めた際、成功したプロジェクトでは先を見据えて準備を進めていたのに対し、失敗したプロジェクトでは現場と同じ目線で物事を進めていたことに気付き、この言葉がまさにその違いを言語化してくれたと感じました。

 また、羽生先生や荒川さんが強調していたのは、現場の責任者から学生に至るまで、全員と積極的にコミュニケーションを取ることの重要性でした。実際の現場でも、彼らが常に誰かとコミュニケーションを取っている様子を目の当たりにし、その豊富なコミュニケーションが、プロジェクトを円滑に進行させる助けとなり、些細な違和感にも気付く力となっているのではないかと感じました。

 この経験を通じて、プロジェクトマネジメントにおける先見性と積極的なコミュニケーションの重要性を改めて実感し、今後のプロジェクトでのリーダーシップに活かしていきたいと考えています。最後に、このような貴重な機会を提供していただいた観測ロケット実験グループをはじめ、JAXAの科学推進部や総研大の教務の皆様に、深く感謝申し上げます。

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