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二体問題

ここまでの講義で、人工衛星(4節,7.5節)、地球の公転運動(6.8節)、ブラックホール連星系(7.3節)の話題が出てきた。 これらは共通して、二つの天体(物体)が重力相互作用を及ぼし合う、二体問題として扱うことができる。 これはとても重要かつ美しい古典力学の応用問題なので、ぜひ理解しておきたい。

二体問題は、二つの質点からなる系の運動を解く問題であり、これは解析的に解ける (=解を式で表すことができる)。 二体問題を解いて得られる天体の軌道は、もう片方の天体をひとつの焦点とする楕円、放物線、または双曲線である。 これから、ケプラーが惑星の精密観測から発見した経験則、「惑星の軌道は太陽をひとつの焦点とする楕円を描く」というケプラーの第一法則が直ちに導かれる。

宇宙にはたくさんの天体があるわけで、厳密な解を得るにはコンピューターを走らせて、たくさんの連立 運動方程式を数値的に解くことが必要なわけだが、多くの場合、二体問題に、他の天体による 微細な影響(摂動)を考えれば十分である。たとえば、人工衛星の運動を解くときは地球の重力のみ、 (太陽や月の影響は微少)、惑星の運動を解くときは太陽の重力のみ(他の惑星や恒星の重力は微少)を考えれば、 大体、事足りる。



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Ken EBISAWA 2011-02-08