No.183
1996.6

ISASニュース 1996.6 No.183

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スカイウェイでお食事を

久保田 孝

 「もう,はいらないよ」を連発した今回の米国出張。スープとサラダでもう十分なのに,さらに大きなメインディッシュを目の前にして思わず口にでてしまう。不慣れな私には,適度な分量を注文することができず,でもおいしいものを食べたいし。出張中,今日は何を食べようかなと、悩みと楽しみの毎日でした。

 4月22日から約1週間,ミネアポリスで開かれたIEEEロボティクス・オートメーション国際会議に出席しました。本会議は,ロボティクス・オートメーション分野における世界最大の最も権威ある国際会議で,第1回が1984年にアトランタで開催されて以来,毎年アメリカを中心に開催されています。本会議参加者は, 30ヵ国以上,約1000人と思われます。会議は,148の一般セッション(発表論文592件)に加え,オープニングに特別講演,早朝・夜に2つのパネルディスカッション,VIDEOプロシーディング上映,展示,テクニカルツア,レセプション・バンケットなど盛りだくさんの内容でした。また,12のチュートリアル・ワークショップも行われました。

 私は,惑星探査ローバのワークショップに顔を出しました。東工大の広瀬先生をはじめ,JPL・CNES・LAAS・CMU・AMESなど20人くらいが参加し,ローバ研究の最新成果についてOHPやVIDEOを用いて発表,活発な議論が行われました。検討段階が多い中で,1996年12月に火星へ打ち上げ予定のマイクロローバ(Pathfinder)の発表は大変注目されました。このマイクロローバは,火星表面のサンプルを採集し,分析する機構(装置)を備えており,科学探査をするローバの研究開発にもっと力をいれるべきだということを参加者全員が再認識しました。今回のワークショップで諸外国のローバ研究開発の最新成果に触れて,宇宙研での検討が進んでいるところもあるのを知って,早くミッション検討とシステム統合を行って,ISASローバを宇宙旅行に行かせたいと強く感じました。

 バンケットは,丸テーブルにフルコース,大勢の人が一堂に介し,大物芸能人の結婚式のようでした。食後のスピーチは,NASA・JSCの Bonnie J. Dunbar 博士による「米露ジョイントスペースミッション」と題する講演でした。Bonnie博士は,ミッションスペシャリストの女性飛行士で、当時の写真やVIDEOを見せながら,苦労話や思い出話をたくさん話してくれました。

 会議会期中は,コピーやFAXの他にインターネットのサービスもあり,端末を10台用意して一人15分限定で開放してくれました。海外出張にきてまでアクセス しなくてもと思うのですが,みなさん仕事をたくさん抱えているようで順番待ちができているほど盛況でした。私も日頃の習慣でついついログインしたのですが,漢字が読めなかったので,この原稿依頼など仕事のことは帰国するまでは知らずにすみました。

 学会は,宿泊しているホテルで行われたので,かんづめ状態でしたが,サマータイムのおかげで会議終了後もまだ明るく,ミネアポリスもエンジョイしました。ミネアポリスという名前は,水(インディアン語)と都市(ギリシャ語)が合わさってできたものだそうで,近くにミシシッピ川が流れ,豊かな緑とたくさんの湖があります。またモール・オブ・アメリカというアメリカ一の巨大複合ショッピングモールがあり,想像を絶する大きさと内容でした。その他,美術館や彫刻庭園もありますが,そんなに大きな都市ではないので,もちろん,権威のある学会だからでしょうが,会議の出席率は大変よく,質問もたくさんでていました。

 4月下旬でもミネアポリスは肌寒く,夜は厚手のコートが必要なくらい大変寒いです。ただ,中心部はデパートやショップ・ホテルが並んでいて,これらの建物をつなぐスカイウェイという高架歩道が縦横に充実しており,一歩も外気に触れずに食事や買い物ができます。スカイウェイで見つけたステーキレストランの食事は大変おいしく,思わず写真をとってしまいました。前菜とパンに手をつけなかったのはいうまでもありませんが。

(くぼた・たかし)


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