月周回衛星(SELENE)シンポジウム開催
7月31日(月),東京・大手町の経団連ホールで,月周回衛星(SELENE)シンポジウム「カウントダウンSELENE〜月探査の新世紀〜」を開催しました。このシンポジウムは,SELENE計画および将来の月探査計画について,広く一般の方々の理解を得ることを目的とするものです。収容定員約470名を上回る延べ約510名の参加者を迎えることができ,大変な盛況となりました。
午前は,立川敬二理事長からのあいさつに引き続き,樋口清司理事からJAXA長期ビジョンに基づくJAXAの月・惑星探査構想と月・惑星探査推進チームの活動状況が紹介されました。その後,滝澤がSELENE計画および来年の打上げに向けた準備状況について,また加藤學教授がSELENEのミッションについて報告を行い,SELENE計画以降の月探査・利用計画の検討状況は川口淳一郎教授より紹介されました。
午後は,米国NASAより,現在進められている月探査戦略の検討状況と2008年打上げ予定の月周回衛星(LRO:Lunar Reconnaissance Orbiter)の紹介,イタリア宇宙機関からはイタリアの月探査構想の紹介が行われました。また,インドから2008年打上げ予定の月周回衛星(Chandrayaan-1),続いて中国から2007年打上げ予定の月周回衛星(Chang'E-1)の紹介があり,世界各国が月探査を積極的に進めている状況をあらためて認識しました。
「SELENE及び将来の月探査への期待」をテーマとしたパネルディスカッションでは,コーディネイタを高柳雄一 多摩六都科学館館長にお願いし,武田弘 東京大学名誉教授,観山正見 国立天文台台長,吉田哲二 清水建設(株)研究開発部長,NASAのNeil Woodward氏,SF作家の小川一水氏,陶芸家の佐藤百合子氏をパネリストに迎えて,月科学や技術開発だけでなく文化も含めた多様な視点から,我が国が何を目指して月探査を行うかについて活発な討論をしていただきました。また,討論の途中には,山崎直子JAXA宇宙飛行士からのビデオメッセージによる応援も紹介されました。
参加者からは,SELENE計画や将来の月探査計画への熱い期待と応援メッセージが,アンケートを通して数多く寄せられています。本シンポジウムを通じて,SELENEの開発,さらに将来の月探査計画への検討を,確実に進めていく必要があるとあらためて強く感じました。