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西田篤弘 元所長にCOSPAR「宇宙科学賞」


COSPAR「宇宙科学賞」を受賞された西田篤弘 元宇宙科学研究所長

 7月16〜23日,北京にて開催されたCOSPAR(宇宙空間科学研究委員会)第36回科学総会で,西田篤弘 元宇宙科学研究所長がCOSPAR「宇宙科学賞」を受賞された。COSPARは宇宙科学関連の44の国(と地域)の学術団体,およびIAU(国際天文学連合)をはじめ13の国際学術団体が加盟する国際学術団体であり,飛翔体(衛星・探査機,観測ロケット,大気球など)を用いて行う宇宙科学研究のすべての領域をカバーしている。「宇宙科学賞」はこのCOSPARの最高の賞であり,西田先生は,小田稔 元宇宙科学研究所長(1996年受賞)に続き,COSPAR「宇宙科学賞」の我が国2人目の受賞者となった。我が国の宇宙科学が国際的に高く評価されている証でもある。宇宙科学に携わる者として心からお祝い申し上げたい。

 西田先生が宇宙科学研究本部の前身である東京大学宇宙航空研究所に入られたのは,我が国初めての人工衛星「おおすみ」(1970年)もまだ上がっていない1967年であり,日本の宇宙科学は黎明期であった。先生はご専門の地球磁気圏電離圏物理学ですでにマイルストーンとなる研究をされており,衛星データを用いた研究では後発だった日本のコミュニティに,新しい研究手法と国際協力研究の枠組みを浸透させた。常に理路整然とした先生の語り口は,科学講演からプロジェクト折衝に至るまで,すべての会合で国内外の出席者に感銘を与え,国際協力を成功に導いた。特に各国の宇宙機関が参加したISTP(国際太陽地球物理)計画では,西田先生が中心となって推進した日米共同の「GEOTAIL」衛星が大きな科学成果を収め,日本は磁気圏物理分野で世界のトップレベルに躍り出た。

 科学面における発展と並行して,西田先生は各国宇宙機関の連携にさまざまな面から貢献された。1996年から2000年まで,所長として宇宙科学研究所の発展を担われると同時に,1994年から2002年までCOSPAR副会長としての重責を果たされた。また,1998年には名古屋にて開催されたCOSPAR科学総会の組織委員長として,その成功に大きく貢献されている。現在は,総合研究大学院大学の理事であると同時に,学術会議の連携会員として宇宙科学の発展に尽力されている。

 西田先生の今回の受賞を心からお喜び申し上げるとともに, JAXA宇宙科学研究本部が先生のご努力の成果の上に,さらに高く飛翔できるよう,一層の努力を誓いたい。

(前澤 洌,小杉健郎) 


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ISASニュース No.305 (無断転載不可)