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第36回COSPAR「月のセッション」


 第36回COSPARにおける月のセッションは,さながら「見本市」の様相を呈していました。COSPARの次週にはICEUM-8(第8回「月の探査と利用に関する国際会議」)が北京で引き続き行われることや,2007年,2008年に月探査ラッシュを迎える各国探査機の全貌が紹介されたため,休憩中だけでなく講演終了後も,商談ならぬ共同研究の話し合いがあちこちで進められていたのが印象的でした。現在周回中のSMART-1衛星(ESA)は来る9月3日の月面衝突で技術実証と科学観測の役目を終了しますが,2007年夏期には中国のChang'E-1と日本のSELENEが打ち上げられ,2008年4月と10月にインドのChandrayaan-1とアメリカのLRO(Lunar Reconnaissance Orbiter)が続きます。それぞれの科学と技術をもって月のリモートセンシングを行います。

 また,ESAには現在後継機の計画はありませんが,イタリアが月探査に参加する衛星を計画しています。日本のみならず,中国・インドの次期計画の紹介があり,着陸機,サンプルリターンへ続く科学探査計画と計画年を明記した説明を,初めて見せてもらいました。従来なら計画年など詳細はなかなか見せなかったのですが,比較されてしまうのを覚悟の上,書き込んだものと思われます。競争の効果が,このようなところにも見られる状況になっています。中国のマスコミから「中国の研究者のオープンの程度はいかがですか」とインタビューされ,「ほかの国と遜色なく公開されています」と答えました。Chang'E-1衛星の詳細を見せることはなかったのですが,研究者が担当する観測機器については諸外国と同程度にオープンになっていますし,データ交換をしようとする姿勢も十分ありました。自信の表れと海外協力のメリットの理解が進んでいるのだと思われます。

 私たちSELENEチームは現在,最終組み立て試験に入っており多忙を極めていますが,半数のPIが参加し,15の講演とポスター発表ができました。次回のCOSPARでは一層の科学成果が問われることになります。

2007年,2008年に打ち上げられる月探査機

(加藤 學) 


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ISASニュース No.305 (無断転載不可)