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宇宙科学研究本部の一般公開 開催去る7月29日に,宇宙科学研究本部の一般公開が行われました。心配されていた天候も大きく崩れることもなく,1万9500人の来場者を迎え,例年通りにぎやかな催しとなりました。1日だけのイベントとはいえ,来場者に宇宙科学の現場を身近に感じてもらおうということで,37の出展ブースを集めての一般公開となりました。
世界の注目を集めた小惑星探査機「はやぶさ」のブースや,宇宙を舞台に世界的な活躍を続けている各天文衛星計画のブース,また将来の「技術オリンピック」の主戦場となるかもしれない月惑星探査のブースなど,各ブースとも子供から大人まで楽しめる工夫が盛り込まれており,特に近年は来場者参加型の展示が増えているようです。現場の若い発想が随所に取り込まれた展示は年々進化しており,久しぶりに各ブースを見学させていただいた私自身,大いに楽しませていただきました。現場が自主的に動いて良いものを作り上げる,という宇宙研の伝統が一般公開の場にも生きている,と心強く感じました。 最近聞いたところでは,今や大盛況の一般公開も,初めはテニス部の自主的な催しとして,勝手連的にスタートしたものだそうです。いかにも宇宙研らしい歴史です。その精神が,何回かの大きな組織的な変更を経て,なお代々受け継がれているという事実は,一般公開だけでなく,これからも大事にしていきたいと考えます。 さて,今年度の展示のうち,昨年打ち上げた小型衛星「れいめい」では,運用中の運用室を公開する,ということを行っていました。開催前には,内心「格好悪い結果にならなければよいが……」と不安に思っていたのですが,さすがは「れいめい」チーム。心配するどころではなく,公開運用中にオーロラの写真を下ろすところまでやったそうです(ただし,一般の方々に分かるような写真だったのかどうかまでは確認していませんので,これ以上持ち上げるのはやめておきます)。
「水ロケット教室」のコーナーは今年も大人気で,開場1時間前には100人近い行列ができていました。何人かに聞いたところでは,2時間並んだ,という声もあり,この問題は残念ながら今年も課題として残ったままのようです。人気があるが故に生じる難しい問題ですが,来年度以降も,整理券の配り方の変更を含めた議論が必要かもしれません。 また,一風変わったところでは,「宇宙農業構想」のブースで,宇宙活動における食糧問題解決のためにカイコを食べることを提案していました。個人的には,「そんなものを食べるくらいなら宇宙に行かなくてよいかも」と尻込みをしてしまいます。宇宙へ行くのもなかなか大変そうです。 小惑星探査機「はやぶさ」のコーナーでは,実際に「はやぶさ」を運用しているスーパーバイザが登場したトークリレーが催されていました。さすがに現場担当者が直接話し掛ける内容は迫力があり,一般の方々も熱心に聴いていたようです。
各展示ブースが年々進化しているのに対して,裏方である事務局側も進化しなければなりません。今年度は新たに,要望の多かった授乳室を準備したり,淵野辺駅との間で無料シャトルバスの運行を試したりしました。この試みがどう受け止められたかについては,回収したアンケートを調査しないと分かりませんが,アンケート結果などもよく見ながら,来年以降,さらに進化し続けていきたいと思います。
(澤井秀次郎)
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