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国際ワークショップ開催

「次の10年の高エネルギー天文学―NeXTなど将来計画を考える―」


 X線天文衛星「すざく」が新たに世界のX線観測に加わり,1年余りがたちました。「すざく」の切り拓く方向が見え始めたこの時期に,標題(英文:High Energy Astrophysics in the Next Decade―NeXT and Future Missions―)のもとに,6月21日から23日に首都大学東京で国際ワークショップを開きました(宇宙放射線シンポジウム)。

 その目的は,
(1)これまでの衛星の観測によって我々が知り得た成果をまとめること,
(2)これから10年間のサイエンスの方向性を考えること,
(3)そのための観測技術はどこまで進んでいるか,
(4)NeXT,XEUS,Con-Xなどの将来ミッションはいかにあるべきか,
を議論することにありました。

 今回はX線天文学に限らず,広い波長域の関係者と,多くの国々の将来計画を議論することを目指しました。参加を呼び掛けたのが4月という大変短い準備期間であり,旅費も用意できない状態で開催したにもかかわらず,中国,インドを含め10ヶ国,174名(うち,海外から31名)の参加者が集まりました。興味深いのは,いつもならテーブルの向こう側とこちら側に座るような立場の違う人たちが一堂に会し,それぞれの考えを素直に議論することができたことです。国際的な研究の中で,日本の取るべき道を示す良い例であったのではないかと思われます。

 全般には,Chandra,Newton,「すざく」などで面白い結果が次々と得られ,新たな方向性が示されつつあるにもかかわらず,次の10年に向けてまだ確実なミッションがないことに対する問題意識が示されました。それと同時に,世界のあちこちで進められている実にさまざまな試みや,特徴を極限まで進めた先進的な提案が紹介されました。本来ならこうしたワークショップを通じて,コミュニティの議論で,将来計画の方向性を絞り込んでいくべきものだと思われます。その中で,日本が中心になって提案しているNeXTに対しては,多くの出席者から強い興味と参加への関心が寄せられました。10年先のサイエンスの柱の一つとなる非熱的宇宙への興味と,X線カロリメータと硬X線撮像という魅力的な観測システムが,国際的なコミュニティに強く支持されていることを表していたと思います。

 懇親会では,「あすか」以来,X線望遠鏡の開発をリードしてきたNASAゴダード研究所のSerlemitsos博士へ,永年の貢献に対するお礼に記念品を贈呈しました。


(写真:井上本部長とともに)

(文責:名古屋大学 國枝秀世) 


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