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目を開いた「あかり」


 日本初の赤外線天文衛星「あかり」は、4月13日に望遠鏡の蓋を開けて試験観測を開始しました。「あかり」の望遠鏡は、望遠鏡自身が赤外線を放射して観測の邪魔をするのを避けるため、液体ヘリウムを搭載してー270℃近くまで冷却されています。この冷却のため、望遠鏡は魔法瓶のように真空断熱された容器に納められています。従って観測を開始するためには、容器の蓋を開ける必要がありました。


 内之浦宇宙空間観測所のアンテナで「あかり」からの信号を見守る中、あらかじめ送っておいた指令通りに「あかり」は姿勢を変え、日本時間4月13日午後4時55分に蓋が分離されました。(表紙参照)分離信号や姿勢制御系の信号が蓋が開いたことを示し、また赤外線観測装置の信号でも正常な分離が確認できました。蓋の内側は−200℃程度に冷えていますが、それでも感度の高い天体観測装置にとっては非常に強い赤外線を放射しています。「あかり」の遠赤外線サーベイ装置は、この蓋からの赤外線で信号が飽和していましたが、蓋が開くと信号レベルが大きく下がりました。望遠鏡と赤外線観測装置が、初めて暗い宇宙を見た瞬間でした。

 現在、天体のデータを使って、観測装置の機能・性能の確認や調整を行っています。また、望遠鏡の焦点調整(ピント合わせ)もほぼ終了しており、5月には本格的な天体観測が開始できる見込みです。

(村上 浩) 


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