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SOLAR-B微小振動擾乱伝達特性試験

 SOLAR-B衛星の望遠鏡の指向(安定)精度要求は,10秒間10万分の1度の角度変動も影響するという厳しいものです。そのため,搭載機器が発生する微小振動が影響することがわかっており,これまでに姿勢制御用モーメンタムホイールや機械式ジャイロ等の発生する振動擾乱の周波数や大きさの測定を行ってきました。しかしながら,これらの振動が望遠鏡の指向精度にどのように影響するかは,微小振動が衛星構体をどう伝わるか,共振する部分があるかなどに依存します。そこで7月11日から18日にかけて,三菱電機鎌倉製作所にてSOLAR-B衛星の構造試験モデルを用いて測定を行いました。

 小型の加振器や実際のモーメンタムホイールを衛星構体に搭載し,衛星の主要な箇所での振動を加速度計を用いて計測することにより,構体の微小振動伝達特性を計測することができました。この結果を設計に反映させることにより,要求精度達成へより確実性が増したと考えています。なお本試験は,周囲からの振動の影響等が無いように衛星をバネで吊して行いましたが,音を立てると測定に支障が出るので,測定中は無言で直立不動という実験者にとって厳しいものでした。

(橋本樹明) 


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GEOTAIL 10周年記念ワークショップ

 7月24〜26日,標記のワークショップがCOSPARの支援を受け“Frontiers of Magnetospheric Plasma Physics”(COSPAR Colloquium)と題して開催されました。この10年間GEOTAIL衛星は磁気圏尾部で数々の新しい現象を発見してきました。特に,磁気リコネクションに関しては,まさに現場観測の強みを発揮して核心に迫り,また,衝撃波による非熱的粒子の生成や波動粒子相互作用によるエネルギー緩和過程など,宇宙プラズマ物理学の最前線に立っています。このワークショップでは国内外から100人ほどの参加者を得て,3日間,やや過密気味のプログラムでしたが,最後に,外国の参加者から日本の若手のレベルの高さに対する賞賛と期待,世話人に対するねぎらいの言葉を受けて幕となりました。

 なおGEOTAILは,1992年7月24日10時26分(米国東部夏時間;日本時間では同日23時26分),米国フロリダのケープカナベラルからデルタII型ロケット212号によって打上げられました。この日を記念してワークショップ初日の夕方,当時のメーカーの方々にも集まっていただいて記念写真を撮り,ビアパーティを催しました。射場オペのビデオが上杉マネージャーの解説付きで2度上映され,往時を思い出して同窓会同然の雰囲気になりました。あの頃の連中が集まれば何でもできる。

(向井利典) 

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一般公開

 さる7月27日(土),相模原キャンパスで宇宙科学研究所一般公開が行われました。例年どおり,開場前からたくさんの人々が集まり,25分繰り上げての開場となりました。

 今年度は,毎年盛況な水ロケットがありませんでしたが,今年末の打上げ予定の小惑星探査機MUSES-Cの実機,2003年度打上げ予定の赤外線天文衛星ASTRO-Fの実機,2005年打上げ予定の太陽観測衛星SOLAR-Bの構造モデル,世界中から87万7000人以上の参加者を集めた「星の王子さま」ミリオンキャンペーンの,実際に名前を刻んだアルミフィルムなどが公開され,人気を呼んでいました。

 主催者の発表では,推定入場者数1万2500人と,昨年よりは少な目ですが,どこの展示にも人がとぎれることがありませんでした。キャンパスのあちこちで,寒いほど涼しい風の来る「宇宙わ」がパタパタと動く,大変暑い夏の一日でした。

(黒谷明美) 


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「星の王子様キャンペーン」に88万人

 きたるMUSES-Cの打上げに向けて,世界中の人々の名前を寄せてもらい,目標の小惑星に運ぼうという「星の王子様キャンペーン」を展開しました。日本惑星協会に全面的に共催して頂いたおかげで,世界の149ヵ国から約88万人もの応募が寄せられました。

 1998年PLANET-B(のぞみ)の打上げの時に行った「あなたの名前を火星へ」キャンペーンは約27万人でしたが,この時は「ハガキに自筆の名前」という原則だったのに対し,今回はインターネットによる申し込みも併用したので,大変効率よく集計されました。

 それにしても世の中には宇宙に夢や憧れを抱く人々の多いことに,あらためて意を強くしました。この力を私たちの宇宙開発のパワーに活かさなければと思っています。

 集計にあたってお世話になった大変多くの人々に,お名前は挙げきれませんが,心からお礼を申し上げます。なお,この88万人の方々のお名前は,アルミニウムのフィルムにエッチング焼き付けされ,MUSES-Cがサンプル収集のため小惑星に接近する時,灯台の役割をするターゲットマーカーに張り付けられます。

(的川泰宣) 


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M-V-5号機の噛み合わせ試験無事終了

 6月14日の機材搬入から始まったM-V-5号機の噛み合わせ試験が無事終了した。予定通り,6月24日までに机上配線チェックを,7月1日までに計器・計装組み込みとノズル駆動チェックをそれぞれ終了し,7月2日より各種動作チェックを行った。動作チェック,タイマチェックに予定以上の時間を要したり,MUSES-Cの都合で第段計器部の振動試験の開始が予定より一日遅れたり,第段計測系の一部のノイズ対策に予定外の半日作業を要したものの,最終的には撤収を除く全作業を半日遅れの7月22日午前中に終了した。ただ,他班の隙間を縫って作業を行う形になった計測班の作業は連日厳しい残業となり,かなりの負担をかける結果になってしまった。この間,DASHの教訓も生かし,噛み合わせ試験への全ての実ケーブルの使用を改めて確認した。従来通り数件の軽微な手直しを要する事項が確認されたが,その多くは噛み合わせ期間中に処置及び確認がなされ,他のものは第組み立てオペまでに処置とその確認が行われる予定である。

(小野田淳次郎) 


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S-310-31,32号機打上げ

 スポラディックE層に伴う準周期エコーの構造と成因の解明を目指したS-310-3132号機は台風の影響等により,予定より3日遅れの7月30日より打上げ体制に入りました。このロケットは準周期エコーが種子島に設置したレーダーにおいて観測されており,かつ箇所(内之浦,種子島・西之表,宮崎県・高崎,高知県・幡多)に有るTMA(トリメチルアルミニウム)による発光雲の観測の為のカメラサイトの内箇所以上が快晴である事,月の光が無い事という大変厳しい打上げ条件がありました。幸い天候の方は良く晴れて打上げ条件を満足している事が多かったのですが,肝心の準周期エコーの方がなかなか出現せず連日の打上げ延期となりましたが5日間ほど待った8月3日23時24分(31号機)と23時39分(32号機)に1時間以上もの間続く大変きれいな準周期エコーの出現中に予定通り15分間隔で両号機を打上げる事が出来ました。搭載機器は全て順調に動作し,TMAの放出による発光雲も打ち上げ後30分間に渡り観測が行われ,準周期エコーの構造と成因の解明の為の貴重なデータを取得する事が出来,今後の解析の結果が大変楽しみな実験となりました。

(早川 基) 


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評議員会,相模原にて開催される

 第51回評議員会が7月5日,本所本館会議場において行われた。評議員会が相模原の本研究所を会場として開催されるのは初めてのことであった。主要な議題は「宇宙三機関統合について」で,新機関組織造りの経過ならびに宇宙科学本部(仮称)の組織案等に関して論議され,評議員の大勢の方々がこれまでの本所の対応ならびに組織案等を是とする見解を示された。議事に先立っての宇宙研の最近の実験報告では,世界最高高度記録を達成した三陸での超薄膜型気球実験について山上隆正助教授から報告を行った。会議終了後,評議員の方々には施設見学をしていただき,噛み合わせ試験中のM-V-5ロケットや同じく試験中のMUSES-CASTRO-F等の衛星をくわしくご覧頂いた。

(松尾弘毅) 


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