No.241
2001.4


ISASニュース 2001.4 No.241 

- Home page
- No.241 目次
- 日本の宇宙科学の新しい時代へ
- 特集に当たって
- 第1章
+ 第2章
- 第3章
- タイトルバックの出典について
- ミッション提案一覧表
- ミッション年表
- アンケート集計結果
- 編集後記

- BackNumber

ソーラーセイル 工学実験衛星構想


 2007〜8年度の打ち上げをめざして,新たな工学実験衛星計画の検討を行ってきた。Solar Sailに関する,最も根本的な誤解は,これが推進機関,燃料と同一視されるべきであるという点である。ともすれば,大型の構造物の一形態であるとの認識が先行するあまり,本来の使用目的を忘れがちであるが,これは,純粋に推進機関であり,光子推進の受動的な発現の一形態である。この新しい計画構想は,その理学探査への実用化をまさに実証しようという試みなのである。この10年ほどの間に,セール材料に,かなりの進展があり,ポリイミド系膜材の薄膜化,長尺モノの連続製造技術,溶着技術の進歩があったことや,軌道操作方法に,工夫があり,外惑星までを守備範囲とする探査計画への応用が,より現実的になったことから,実現に近づいてきたといえる。とくに,これまでの計画が,いわば凧の形態で考察されてきたことや,初期重量の観点で,地球まわりでの運用をまず最初に考察してきたことが,間接的にあきらめられてきた一因かもしれない。この工学実験衛星計画で実証されるべき工学技術,目的は,

 (1)惑星間の主推進機関として,ソーラセイルによる軌道移行を実証する。外力加速下での軌道決定,航法技術を確立し,大型膜構造物の運動解析,設計技術を習得すること。
 (2)金星エントリプローブ(ほかの天体の大気圏に突入する探査機),浮遊気球を投下し,高温下での探査技術を実証すること。
 (3)その他,XバンドとKaバンドの通信技術の開発,次世代惑星探査機技術を先行して開発すること

などである。このミッションでは,当面のreference mission(代表する例として揚げる計画)を,黄道面垂直ミッションとくに短周期の極円軌道への移行を実証することを第次案として検討してきた。大まかなスケジュールでは,2007年12月(8月に最初の打ち上げ窓)に,本探査機を金星に向けて打ち上げる案を検討している。

(川口淳一郎(宇宙研)およびSolar Sail研究会メンバ) 



#
目次
#
第2章 目次
#
SPS技術研究のための工学衛星計画
#
Home page

ISASニュース No.241 (無断転載不可)