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一般公開に1万人余

 さる7月26日(土),恒例の宇宙科学研究所一般公開が行われた。台風が日本列島を直撃という事態と重なり,出足が心配されたが,人々の宇宙熱はすごく,1万400人(主催者発表)が相模原キャンパスに溢れた。今年の目玉は何といってもさる 2月12日にデビューした M-Vロケットとそれが軌道へ運んだ衛星「はるか」であったが,輝かしい成果を治めつつあるX線天文学や磁気圏プラズマ物理学の展示も人気があり,ミニミニ宇宙学校や大気球,将来計画とともに,熱心なQ&Aの姿があちこちで展開された。今年の異色コーナーとしては,PLANET-Bの展示のそばの「あなたの名前を火星へ!」が挙げられる。小さな机の上のレポート用紙に名前を登録すれば,マイクロフィルムにインプットされて来年7月打上げのPLANET-Bに貼りつけられ火星まで飛んで行くとあって,大勢の人々が群がって名前を記入していた。それにしてもこの悪天候にも拘わらずこんなに沢山の人々が駆けつけるとは!1年に 200億円余の税金を投入しているための関心だけではない。日本人も宇宙が好きなのである。さる7月4日,アメリカの火星パスファインダーの着陸の際に,NASA/JPLのホームページは7億人以上がヒットしたと言う。文部省も私たちも日本人の宇宙への期待を余りに過小評価してはいまいか。一般公開に集められたエネルギーをもっと国づくりに生かしていきたいものである。

(的川泰宣)

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ASTRO-E音響試験

 西暦2000年に打上げ予定のASTRO-E衛星の開発は,現在構造試験モデルの段階に進んでいます。6月30日から一週間は,試験体を宇宙開発事業団つくば宇宙センターの総合環境試験棟に移し,衛星本体および搭載各要素の音響試験が行なわれました。ASTRO-Eは打上げ状態での高さが約 5m と,宇宙研では例を見ない大型衛星であるため,宇宙研で行われる組立や試験作業はあまり場所に余裕が無い状態で行われています。しかし,H- IIで打ち上げる衛星を同時に複数開発することができる宇宙開発事業団の設備はすべてにおいて大きく,作業は開梱から設置・試験・撤収と良好な環境下で非常に順調に進行しました。今回の試験で用いた建物で同時に開発が進められている事業団の「ADEOS- II」や「ETS-V II (きく7号/おりひめ・ひこぼし)」と並べると,ASTRO-Eですらこじんまりとして見えます。しかし,かえって機能が凝縮されているようにも感じられるのはおもしろい事です。
 試験は,打上げ環境を模した45秒間の音響を23秒ずつ2日に分けて加える,という手順で行われました。その結果,衛星本体には特に目につく不具合は生じていない事,および各部の振動データについてもほぼ予定通り取得できた事を確認しました。音響によって生じる振動等の詳細は,今後の解析により明らかになります。

(尾崎 正伸)

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MIC自律撮像試験

写真1 実験システムの外観  

 来夏打上げ予定の火星探査機PLANET-Bには可視光撮像カメラ(MIC)が搭載されますが,これを用いて火星の衛星であるフォボスとダイモスの写真を撮ることを計画しています。しかしながら,PLANET-Bと火星の衛星が遭遇する機会は年に数回しかなく,すれ違う相対速度は秒速数kmという速さ,またPLANET-Bはスピン安定型の探査機で回転しているため,写真を撮るチャンスは8秒に1回しかありません。その上火星の衛星の軌道は正確にはわかっていないので,最接近時に衛星をMICの視野の中に捉えることは非常に難しい問題です。
 そこでMIC搭載ソフトには,目標衛星の動きを推定して自律的に視野方向を変える機能を持たせています。この機能を実証するため,写真1のようにPLANET-Bのスピンを模擬するテーブルと衛星の動きを模擬する移動台車を用いて試験を行いました。結果は写真2のように,最初は多少視野中心からずれたところに衛星を捉えていても,搭載ソフトが自動的に視野中心にとらえるように修正しています。

写真2 フォボス模型を撮像した画像

 この試験結果から,自律撮像機能は正しく動作していることが確認されたので,今後は詳細な追尾精度評価を行って,打上げに備えていきます。

(橋本樹明)

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相模原キャンパスにハクビシン

 タヌキが相模原キャンパスにときどき出没することは,すでにISASニュースにも載っています。6月26日の夜に正門から本館にむかう歩道脇の杉の上にハクビシン(白鼻心)がいました。ハクビシンは鼻筋が白いのが特徴で,同じ食肉類のタヌキ(イヌ上科)と体つきや大きさは似ていますが,ネコ上科に属します。成体は頭胴長約50cm,尾長約40cmで,写真でも左に長い尾がたれています。ハクビシンは台湾か中国からの移入種だといわれています。1950年に山梨県で野生のハクビシンが確認され,丹沢や相模原での棲息も報告があります。頭骨の形態が中国のハクビシンと異なることから,古くから日本に棲息するとも考えられます。ただ,同じ種でも異なる生育環境に適応して個体の形態が変化することがままあり,形のみではわかりません。
 当夜は木の下をいく人かが取り囲んだことから,身の丈に比べて立派な威嚇音を発しながら樹上を移動して姿を消しました。多摩丘陵一帯では,開発により棲息環境を奪われた先住タヌキがヒトに化け人間社会に紛れ込んでいるとの伝承があります。このハクビシンも昼の間は宇宙研の中でヒトの姿をして歩いているかもしれません。化けタヌキならともかく,トラの子分にあたるハクビシンは,いくらペットショップで扱われているとはいえ,鋭い牙を持つためご用心。

(山下雅道)

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「はるか」,電波望遠鏡群とクェーサー核の初映像
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ISASニュース No.197 (無断転載不可)