宇宙科学談話会

ISAS Space Science Colloquium & Space Science Seminar

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「あかり」近赤外線分光観測による小惑星の含水鉱物探査

臼井 文彦(Fumihiko USUI)
神戸大学大学院理学研究科 惑星科学研究センター

小惑星における含水鉱物の存在を調べることは、太陽系の成り立ち、特に熱的な変遷を知る上で重要である。含水鉱物は液体の水と無水鉱物が反応して生成されるが、水の昇華温度以上でも比較的安定であるため、水の存在を示す重要なトレーサーである。含水鉱物は近赤外線の波長2.7 um付近に吸収フィーチャーを持つことが知られているが、この波長域は地球大気の吸収のために、地上望遠鏡では観測できていなかった。我々は赤外線天文衛星「あかり」を用いて、地球大気に影響されることなく小惑星の近赤外線分光観測を行い、小惑星66天体のスペクトルを得ることに成功した。その結果、多くのC型小惑星には含水鉱物に起因する顕著な吸収が見られること、一方ほとんどのS型小惑星にはそのような吸収が見られないことがわかった。本講演では、「あかり」による小惑星の近赤外線分光観測の概要とその結果から考えられる小惑星の形成進化過程について紹介し、さらに天文観測と小惑星探査の関係性について議論する。

Place: A 2F Conf. room(1236) / A棟2階会議場(1236号室)