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大気球実験BS10-06 終了

2010年9月8日(水)5時38分に、高高度薄膜気球飛翔性能試験と成層圏オゾン・大気重力波の観測を目的としたBS10-06実験として、2010年度第二次気球実験の4号機を連携協力拠点 大樹航空宇宙実験場より放球しました。この気球は満膨張体積60,000 m3、気球膜厚3.4マイクロメートルの薄膜高高度気球で、およそ毎分300 mの速度で上昇しました。

放球2時間半後に、気球が大樹航空宇宙実験場東南東約80 kmの太平洋上において高度46.8 kmに達した時点で、指令電波により薄膜気球用気球引裂き機構を作動させ気球を破壊しました。気球および搭載機器は大樹航空宇宙実験場東南東約100 kmの着水予定海域に8時20分に降下しました。

本実験では、これまでに比べて幅広の薄膜ポリエチレンフィルムを用いた薄膜高高度気球の飛翔実証および薄膜気球用気球引裂き機構の動作確認という所期の目的を達成しました。また同時に、光学式・電気化学式(ECC)の2種類のオゾン観測器を用いてオゾン、風速、気温、気圧の精密観測を行い、地表付近から上部成層圏にかけてのオゾン高度分布と大気重力波等によるその微細構造の観測を行いました。高度30 km以下で高精度なECCオゾンゾンデ、高度30 km以上で精度のよい光学式オゾンゾンデともに良好に作動し、高度46.8 kmの上部成層圏領域までの観測に成功しました。今回の大樹航空宇宙実験場における初めての観測結果と、過去の三陸大気球観測所での観測結果との比較により、場所や年によるオゾンや大気重力波の変動も調査できるデータが取得できました。

放球時の地上気象状況は、天候:晴れ、風速:毎秒1 m、気温:摂氏10度でした。

本実験をもちまして2010年度第二次気球実験を終了します。

ヘリウムガスを充てんした薄膜気球を屋外に移動する様子

ヘリウムガスを充てんした薄膜気球を屋外に移動する様子

スプール解放

スプール解放

放球直後

放球直後の薄膜高高度気球

2010年9月8日

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