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BESS-Polar実験がNASA Group Achievement Awardを受賞

少し遡るニュースとなりますが、本年4月16日にBESS−Polar実験がNASA Group Achievement Awardを受賞しました。(7月末に、日本側メンバーに受賞盾の写真が届きましたので急ぎご報告させて頂く次第です。)

BESS−Polar実験は南極周回気球による気球搭載型超伝導スペクトロメータを用いた宇宙粒子線観測実験です。
東京大学、高エネルギー加速器研究機構、神戸大学、ISAS、NASA/GSFC、メリーランド大学、デンバー大学による日米共同研究で、1993年にカナダで初めてのBESS気球実験を実施して以来、宇宙起源反物質・反粒子の高感度探索と各種一次宇宙線の精密観測を推進してきました。2004年に実施された1回目の南極周回気球実験において8.5日間の宇宙粒子線観測を実現し、その後測定器のアップグレードを経て2007年12月から翌年1月にかけて2回目の実験を実施しました。12月23日に米マクマード基地から放球された気球はほぼ30日間に亘って南極大陸上空を2周弱周回し、この間に47億の宇宙線事象を観測し、その中から8,000事象を上回る低エネルギー宇宙線反陽子の検出を達成しています。
今回の受賞は世界最高の宇宙起源反物質探索を実現したBESS−Polar測定器の開発と30日間に及ぶ気球実験の成功に対するものです。

筆者がまだ大学院生であった20年以上前に宇宙科学実験の素人が始めた気球実験が、このように表彰していただけるまでに育ったことは「継続は力なり」の体現でもありますが、何よりその間叱咤激励を続けてくださった歴代所長、本部長、対外協力室、大気球研究委員会、大気球実験に携わる多くの皆様のご指導、ご支援の賜物であると思います。この受賞を機会にBESS実験をサポートしてくださった皆様に心より深く感謝申し上げます。そしてこの経験が、国際協力によるISAS大気球実験の今後の発展の一助となればと願っています。

大気球実験室 吉田哲也

放球のようす[画像クリックで拡大画像]

2009年8月17日

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