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南極周回気球によるBESS-Polar宇宙線観測実験の実施について

 宇宙の初期における素粒子現象の探索を目的として進められている日米共同実験BESS-Polarは、南極周回気球による宇宙線観測を実施し完了しました。
 現地時間(ニュージーランド夏時間)の2004年12月13日18時54分(日本時間 同日14時54分)、南極マクマード基地近くのウィリアムズ・フィールドに於いて、BESS-Polar測定器(気球搭載型超伝導スペクトロメータ)は体積110万立方メートルの大気球により打ち上げられました。

 3 時間20分後には最低要求高度33.3kmを越え、その後、高度約37〜39kmにおける水平浮遊に入りました。南極を周回する水平浮遊を続けた後、現地時間12月22日11時14分に測定器は気球から切り離され、現地時間同日11時56分に南緯83度06分・西経155度35分のロス棚氷上にパラシュートで緩降下しました。飛翔時間は8日間と17時間2分でした。

 翌23日より着地地点での回収作業を開始し、データ記録装置ならびに測定器要素全ての回収を完了しました。データ記録装置には、飛翔中に観測された約9 億の宇宙線イベントが総量2テラバイトのデータとして記録されています。データおよび測定器は今後マクマード基地より日本と米国に持ち帰られ、詳細なデータ解析と測定器の再構築が進められる予定です。

 なお、BESS-Polar実験は、ISAS/JAXAとNASAを代表機関とする、宇宙科学分野における日米政府間協力取り極め(2003年7月)に基づき推進されています。日本では文部科学省科学研究費補助金、米国ではNASAの研究費を得て、研究が進められています。科学観測気球の打上げは NASA/NSBF(米国立科学気球施設)が担当し、気球飛翔を含むマクマード基地での活動はNSF(米国立科学財団)によって運営されています。

 この場をお借りし、BESS-Polar実験の推進にあたってお世話になった関係者の方々に感謝申し上げます。

打上げ用クレーン車に吊られたBESS-Polar測定器と、
ヘリウムガスを注入中のNASAの大気球

打上げ直後の様子

BESS-Polarの航跡図。各日付は世界標準時0時での気球位置を示しています。

2005年1月11日

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