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大気球(BU30-5号機)による成層圏オゾン・大気重力波の観測と水晶気圧計の性能実証試験に成功

2007年9月13日 宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究本部 発表

2007年9月13日(木)6時51分に、2007年度第2次気球実験の3号機として、成層圏オゾン・大気重力波の観測と水晶気圧計の性能実証試験を目的としたBU30-5号機を三陸大気球観測所より放球しました。この気球は厚さ3.4マイクロメートル、容積3万立方メートルの薄膜高高度気球であり、およそ毎分300mの速度で正常に上昇しました。気球は、放球2時間35分後に魹ヶ崎沖70kmの海上において高度49.8 kmで水平浮遊高度に達し、直ちに指令電波を送信して気球を破断しました。観測器と気球は、10時21分に閉伊崎東方100kmの海上に緩降下しました。

本実験は、地表付近から上部成層圏にかけてのオゾン高度分布、大気重力波等によるその微細構造、および水晶気圧計の性能実証試験を目的として、電気化学式(ECC)オゾンゾンデと光学オゾンゾンデの2種類のオゾン観測器と水晶気圧計を用いてオゾン、風速、気温、気圧の精密観測を行いました。ECCオゾンゾンデは高度30km以下で非常に高い精度を持ち、高度30km以上では光学式オゾンゾンデが精度良くオゾンを測定できます。水晶気圧計は近年開発された計測圧力範囲が大気圧から中真空までのもので、気球やロケットでの利用が期待されています。今回の観測では3つの観測器とも良好に作動し、下部中間圏領域までの観測に成功しました。

上部成層圏や下部中間圏のオゾンを直接測定できる観測器は他にはなく、これらの領域のオゾン変動を調べる貴重なデータを得ることができました。また、これにより地上から下部中間圏までの広い領域での重力波パラメータの導出が可能となります。さらに水晶気圧計の有効性も確認でき、その精度検証を行うことができました。

放球時の地上気象状況は、天候:晴れ、風速:毎秒0.2m、気温:摂氏21度でした。

2007年9月13日

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