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M-V-5号機モーションテーブル試験

 4月1日から5月17日まで,C棟の磁気シールド室にてM-V-5号機モーションテーブル試験が実施された。これは,本年11月打ち上げ予定のM-Vロケット5号機の姿勢制御系の健全性を確認するための試験である。試験の目的は,姿勢制御系の実機が実際の飛翔条件下でどのように振る舞うかをチェックすることである。モーションテーブルと呼ばれる揺動台の上にロケット姿勢制御用センサを載せ,その揺動をセンサで検知,ロケット姿勢制御計算を実施し,その結果をモーションテーブル制御計算機に入力する。モーションテーブル制御計算機には,M-Vロケットの特性が予め入力されており,制御指令とあわせて,ロケットの姿勢がどのように振る舞うかを計算し,それを再現するようにモーションテーブルを駆動する,という流れで試験は実施される。


 モーションテーブル試験は,M-Vロケットの打ち上げ毎に実施されているが,今回の試験では,特に,2段目ノズルアクチュエータを組み合わせた試験も実施した。これは今号機より2段目TVCの設計が変更されたことに対応する。また,ロケット姿勢に応じてアンテナ切替が正常に行われるかの確認も行った。試験は順調に実施され,次号機打ち上げに向けての自信が深められたのは大きな収穫であった。

 なお,本試験実施にあたり,実験スペースの関係から開梱室を借用するなど多方面に影響を与えたが,所内の多くの方々のご理解ご協力のお陰で無事に実施できたことを感謝したい。

(澤井秀次郎) 


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超薄膜型気球(BU60)が世界最高高度に到達

 2002年5月23日6時35分,厚さ3.4ミクロンのポリエチレンフィルムで作られた容積万立方米の超薄膜型気球(BU60)は,好天に恵まれた気象状態の中,静かに三陸大気球観測所より放球されました。気球は,気球に携わった全ての人々の願いを乗せて,毎分265mの速度でゆっくり上昇を続け,高度53.Okmに飛翔することに成功しました。この高度は,これまでの世界最高高度51.8kmより1.2kmも高い高度であり,世界最高高度を30年ぶりに更新するものでありました。高度53.Okmに到達した時は,広澤春任三陸大気球観測所長をはじめ,気球実験班が全員受信室に集まり,この偉業を心より祝う拍手が起こりました。1997年より始めた超薄膜フィルムの開発,気球製作用接着機の開発,高い品質管理の基での気球製作,エアーバッグ式超薄膜型気球放球装置の開発,また日本独自に開発したセミダイナミック放球法等,全ての開発成果を結集した結果がこの日の成功をもたらしたものと確信しております。文末になりましたが,この気球に携わった全てのメーカーの皆様,気球実験班および地元の支援者に心より拍手を送ると共に深く感謝申し上げます。

(山上隆正) 


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MUSES-C 総合試験近況

 化学推進機関の艤装のために,一時相模原を離れていたMUSES-C探査機の構体は,4月下旬に再び搬入され,総合試験の後半がスタートしました。4月26日には後半に向けての全員打ち合わせが開催されました。惑星探査機ということで,打ち上げのチャンス(窓)は厳しく制約されているため,スケジュールには余裕はほとんどありません。直後のゴールデンウィークは,実はMUSES-Cグループにとっては,ほとんど休みなしでした。機器の調整とスケジュールの競合がしだいに際だってきたことも,打ち上げが近いことを語っています。

 クリーンルームも増設されて,いまは新クリーンルーム部にはSOLAR-B,もともとのクリーンルームにはMUSES-CASTRO-Fと,つの衛星・探査機がならんでいます。一度に3機の衛星がならぶことも珍しい光景でしょう。朝9時から9時半にかけては,A棟からC棟への間をたくさんの人が行き交うのを見ることができます。今日はどの朝会なのかを尋ね合う日常的な会話も宇宙研ならではです。多くの方がお互いの探査機,衛星を支援しあってプロジェクトを進めているのです。このごろはロケット系の作業が加わりはじめて,入れ替わり立ち替わりいろんなメーカさんの方を目にするようになりました。

 年度が明けて,見学者や取材も多くなってきました。本当にそんな(とんでもない)ことができるんですかそういう質問が今更ながら多いのには少々閉口ぎみですが,関心をもってもらうのは大歓迎です。

 緊張感の中に大きな期待感が高まるこのごろです。

(川口淳一郎) 


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ASTRO-F 一次噛合わせ試験

 赤外線天文衛星ASTRO-Fの第一次噛合わせ試験は,現在電気試験を行なっています。機器がコマンドに従って正しく動作するか,データは正しく地上に送られるかをチェックします。

 ASTRO-Fの天体観測用望遠鏡は液体ヘリウムで-270℃付近まで冷やされます。写真は,蒸発したヘリウムガスを排気する配管が取り付けられたASTRO-F衛星,それにデータチェック風景です。

(村上 浩) 



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M-V-5号機仮組立作業

 MUSES-C打上げに向けて,ロケット側の準備作業も着々と進んでいます。1月21日〜2月22日までに頭胴部の,3月8日〜20日4月1日〜5日B1(1段目)の,5月15日〜24日までにB2(2段目)の仮組立作業を終えました。仮組立作業は,機体を製造している(株)アイ・エイチ・アイ・エアロスペース富岡事業所に各メーカで作られた搭載機器類を持寄り,所定の位置に機器を搭載し,機器間を計装(ケーブル)でつなぎます。これにより,機器は正常に搭載できるか,計装をどう配線するか(ルーティング)の確認をします。また各段間等,つなぎ目になる部分を結合してフィットチェックをします。

 実際に物どうしを合せてみると,設計図面上では収まっているはずの物が干渉していたり,作業性が十分考慮されていない等,いろいろな事が分ります。位置の変更や追加工等の手直しをしなくてはならない部分が幾つか発生しましたが,問題点は出し切れたと考えています。これらの問題点は,搭載機器をONにして

 動作確認を行う噛合せ試験迄には解決し,打上げに向けての準備作業は次の段階に入ります。尚,写真はB2仮組立時のもので,右から第段ノズル,第段(M-25)モータケース,1/2段接手(いずれも新規開発)です。

(竹前俊昭) 



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