No.027
1983.6

国際地球観測年(IGY)記念号にあたって  
ISASニュース 1983.6 No.027

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- No.027 目次
+ 国際地球観測年(IGY)記念号にあたって
- 我国での宇宙観測のはじまり
- IGYの頃
- ユーゴスラビアにロケット推進薬製造技術のうりこみ(1963年)
- IGYと初期のロケット研究
- 我国の電離層ロケット観測の成果
- 大気光および大気光学観測
- 電磁圏観測
- お知らせ
- 編集後記

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編集委員長 平 尾 邦 雄  



 人類発生のときから,自然は人類に多くの不思議な現象を示してきました。天文現象・天変地異等は長い間人類にとっては,人の手のとどかぬどこかでこれらの現象が作り出され,人類の運命を左右するものとしてとらえられていました。しかし人類も又それらから何等かの規則性や法則を見出そうと努力してきました。

 1882年,やや近代的な科学手法を身につけた人類は,おそらくはじめての国際協力事業として第1回極年観測をはじめました。この時は,その名の示す通り,主としてオーロラ・地磁気・気象等極地特に北極における自然現象の解明につとめました。ある人は,これこそ人類はじめての科学事業である,とさえいっています。

 それから50年たって,1932年〜33年には第2回の極年観測が行われましたが,この時はもう極地方だけでなく,広く中緯度地帯を蔽うようになり,又観測も電離層観測が加わるようになりました。

 そうしてそれから又25年たち,1957年〜58年には,第二次大戦からたち直った各国は,ひろく地球全体を蔽う多種の地球物理学的な現象の解明のために,新しく身につけた近代的科学手法をつかって,協力観測を2年間にわたって行いました。我国でもこれを契機として多種にわたる観測手段を整備し,又ロケットによる観測や南極地域観測等もはじめて,国際的協力事業に協力を行いました。昨年から国際学術連合の提唱により,これら極年観測や地球観測の100年50年25年の記念の事業を各国で行い,我々の住むこの地球に対する人類の関心をよびおこすことをよびかけました。

 宇宙科学研究所は,我国におけるロケットによる地球観測事業を契機として生れ出た,といって過言ではありません。ここでISASニュース第27号を,国際地球観測年記念号として,皆様におとどけいたします。宇宙研の観測ロケット事業をはじめるにあたって大変関係の深かった,永田,前田,戸田,秋葉の諸先生に原稿をお願いいたしましたところ,快くお引き受け下さいました。又国際地球観測年以来の地球物理学関係の発展につき,大家,小川先生にお願いしました。紙面をお借りして厚くお礼申しあげます。なお,表紙カットはなつかしい道川の実験場全景です。

(ひらお・くにお) 


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我国での宇宙観測のはじまり
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