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実際にしている仕事はどんなことなの? |
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あなたは病院などでレントゲン検査を受けたことがありますか?レントゲンでは目には見えない光、「X線」を体に照てて透過してきたX線を撮像します。体の内部の密度の濃い部分、たとえば癌などはX線を吸収して影を作るので、早期発見ができたりします。私たちはこれと同じ原理を使って宇宙を観測しています。宇宙にあるさまざまな天体がX線の発生源で、暗黒星雲など塵の多いところが影となって撮像できます。
またX線にも目に見える光と同様に「色」つまり波長の違いがあるので、どのような色のX線がどのくらいの強さで放たれているのかを測ることによって天体がどんなものでできているか、どのような現象が起きているのかを探っています。またX線の強さが時間によってどのように変化するか、突発的な現象の発見なども行います。
X線と目に見える光の違いは、それらの光線を放っているもののエネルギーです。X線は1千万度を超える超高温気体や相対論的に動く電子から発生します。私は特にX線でしか解明できない天体現象を研究しようと思っていて、例えば強い重力場のブラックホールや我々の銀河系の中心など暗黒星雲の向こう側にひろがる宇宙の世界を研究しています。最近は来年早々に打ち上げる Astro-EII衛星に載ることになるX線望遠鏡を完成させるため毎日頑張っています。
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子供のころはどんな子供だったの?
好きなものとか、夢中になったものは何? |
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昆虫・魚・車・電車・テレビアニメ・ひげダンスと、動くものに片っ端から心を奪われ、我を忘れて魚掬いやスタンプ集めなどに熱中していたのを覚えています。今考えると動くものしか目に見えない「かえる」みたいな子供だったなあと思います。でもほとんど動かない亀を何年も毎日のように探して堀に出かけていたり、本当のところは自分ではよくわかりません。
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どうして宇宙の仕事をしたいと思ったの? |
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常に新しいことに挑戦することを求められている“研究”に興味があったからです。地球科学・生物など興味のある分野は他にもいくつかあったのですが、学部の時にかじった宇宙科学を大学院の専攻に選びました。やればやるほど気にいって、今に至ります。
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これから宇宙開発、宇宙研究はどうなるの?
どうなればいいと思いますか? |
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私は宇宙開発は我々の住む世界を広げる開拓でなくてはならないと思います。
かつて、コペルニクスによる地動説の誕生から始まり、ガリレオ、ティコ、ケプラーを経て、ニュートンの運動方程式が導かれました。運動方程式が導かれていなければ、私たちは飛行機にも車にも乗れず、現在行っている文化的な暮らしはできません。しかし、コペルニクスやガリレオたちは私たちの暮らしを便利にしようと思って宇宙研究を行ったのでしょうか?答えはNoだと思います。
現在の宇宙開発は、成果が予め確実視できることが強く求められています。また即、役に立つテーマのみが重視されようとしています。挑戦する前から意義のわかっている研究は得てして発見に繋がらず、我々の知的好奇心を満たしません。精神的に閉塞感に満ち満ちた宇宙開発の時代がしばらく続くと思います。しかし皆さんが成人して宇宙開発に関わる頃には流れを変えなければいけないと希望しています。
宇宙開発は開拓であるがゆえ、失敗がつきものです。しかし、くじけずに新しいことに挑戦しつづけなければ、私たちの住む世界は広がりません。人間が猿から離れ、人間として進化したのは、知的好奇心ゆえであり、知的世界をさらに広げていかなければ、人間は人間たりえないのではないかと思います。「役に立つこと」は一般にあとからついてくるものであり、それが目的となった開発はあまり意味のないものではないかと考えます。
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地球の子供たちにメッセージをどうぞ! |
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皆さんと同じ地球に住む生命体として生まれて光栄です。一緒に地球外生命体を探しましょう。地球人がぼけたら、突っ込んでくれますかね? |