宇宙輸送工学
小惑星探査機「はやぶさ」が使っている省エネの電気推進エンジン。
外国のまねではない新しい推進システムをつくり出すお仕事です!

名前: 國中 均
(くになか ひとし)
専門: 宇宙輸送工学
実際にしている仕事はどんなことなの?
 

宇宙用推進機関の研究をしています。化学燃焼を用いず、電気エネルギーを推力に変換する機械を中心に活動しています。宇宙技術先進国への模倣(まね)に終わってしまわない機械の実現を心がけています。
研究は、アイデアの創出→基礎勉強→要素技術の試作→実験室実験という順番で進みます。新しいアイデアを補強するために、図書館の奥の方から新旧の文献を探し出して過去のデータを元にコンピュータで計算します。
こうして肉付けされたアイデアの実現性を試すために、図面を引いて設計し、旋盤を使って機械加工して装置を作ります。この装置を実験室の真空容器の中で作動させて、性能改良を行なっていきます。
たくさんの研究課題の中には、研究から発展して宇宙実験や宇宙実証された技術もあります。

子供のころはどんな子供だったの?
好きなものとか、夢中になったものは何?
 

小学校の頃、新しく家にやってきた電気製品を分解して中身を垣間見ることが好きでした。それを再組立することにほとんどの場合失敗して、父親によく怒られました。
中学の頃は、天体写真撮影用の赤道儀の自作に熱中して、材木に穴を開けるつもりが床まで貫通してしまい、母親に怒られました。
高校では天文部に所属し、太陽電波観測のため大型パラボラアンテナを自作したものの、風に飛ばされ大破。先生に怒られました。

どうして宇宙の仕事をしたいと思ったの?
 

未完成の分野にこそ自分の創意工夫が生かせると思いました。高校生の頃には、21世紀は「核融合」か「宇宙」の時代だと考えました。天文分野に興味があったので後者を選んだのでしょう。

これから宇宙開発、宇宙研究はどうなるの?
どうなればいいと思いますか?
 

これまでの人工衛星や人工惑星は打ち上げロケットによって一気に加速し、その後は惰性で航行をしていました。
私たちが研究を進める電気推進は燃料効率が高く、僅かな推進剤でも長時間加速を続けることができるので、宇宙を「動力航行」することが可能です。
私たちが作る電気推進を搭載した「宇宙船」によって新しい世界を切り開きたいものです。
人間は地球にいながらに宇宙を探検するテレ宇宙旅行とか、宇宙船の技術を競う月レースを実現させたいですネ。

地球の子供たちにメッセージをどうぞ!
 

たくさん「勉強」しましょう。勉強とは先人を「模倣(まね)」することです。
もう、十分まねできるようになったと思えてから、さらにもうすこし勉強した上で、その後は「自分のやり方」を貫きましょう。

 

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