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実際にしている仕事はどんなことなの? |
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地球のまわりや、火星のまわり、太陽系の中の宇宙空間で起こっていることを、その宇宙空間に実際に人工衛星を送り込むことによって研究しています。人工衛星から送られてきたデータを、自分のテーマ(私の場合は電場・磁場観測)に沿って解析します。解析してわかったことは、会議で発表したり、論文にまとめて専門の雑誌に載せたりします。日本や外国で関連した研究をしている人たちと、お互いの研究の成果を見せ合ったり、意見を交換したりもします。研究の目的にあった観測をするために、内之浦や臼田にある宇宙研の施設を使って正しい命令を人工衛星に送ることや、命令の計画を作ることも大事な仕事です。また、将来どのようなミッションを行なったら更に研究が進むかを検討します。新しく打ち上げる人工衛星に載せる観測機器の製作や性能の試験にも携わっています。
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子供のころはどんな子供だったの?
好きなものとか、夢中になったものは何? |
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身の回りにある何でもないものを、ぼーっと見ていることが好きでした。例えば、山に太陽が沈んでいく時に形が歪んでいく様子とか、雨の日に窓ガラスについた水滴が、お互いにくっついて大きくなりながら流れていく様子とかを、飽きもせずに眺めていました。そのためか、よく「ぼーっとした」子供だと言われました。小学生の時には、休み時間に校庭の隅でアリがえさを巣に運んでいく様子を見ていたら、始業の鐘が鳴ったのにも気がつかず、はっとして周りを見ると校庭には誰もいなかったということもありました。
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どうして宇宙の仕事をしたいと思ったの? |
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地球よりも大きなスケールで、この世界ではどのようなことが起こっているのか、どのような法則で支配されているのかを知りたいと思ったことがはじまりです。地球の周りの宇宙のことを勉強するために、大学では地球惑星物理学科を専攻しました。しかしその時には、宇宙で起こっていることをもっとよく知りたいと思っていただけで、将来宇宙の仕事をするようになるとは想像していませんでした。大学や大学院で勉強や研究をするうちに、研究は面白い、特に宇宙の研究は面白いと思うようになり、たまたま機会に恵まれたこともあって、今の仕事をするようになりました。
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これから宇宙開発、宇宙研究はどうなるの?
どうなればいいと思いますか? |
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地球の周りの宇宙空間には、天気予報や衛星通信などに使われる人工衛星が数多く打ち上げられ、私たちの身近なところで役に立つようになりました。宇宙利用の技術はこれから更に進歩して、人間の暮らしをより便利なものにしてくれることでしょう。しかし過去において、人間の利用する技術が今のレベルにまで進歩する過程で、豊かな生活と引き換えに地球上の自然の持っていたバランスの力が失われ、現在の環境破壊などを招いてしまったことを私たちは思い出す必要があります。宇宙で同じ過ちをしないために、宇宙と人類との上手な付き合い方を探しながら宇宙開発を進める必要があります。そのためにも、宇宙科学の研究を行って宇宙についてもっと良く知ることはたいへん大事だと思います。
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地球の子供たちにメッセージをどうぞ! |
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宇宙は遠く離れた所にあるものばかりではなく、私たちが住んでいる地球や、周りに生えている木や草や、私たちのからだ自体も宇宙を構成している宇宙の一員です。私たちが生きていることも、太陽が輝いていることも、星が出来たり消えたりすることも、同じ宇宙で起きていて、基本となる法則は同じだということは、当たり前だけれどもとても神秘的なことだと思います。私達の世界を作っているものは全て、例えば足元に落ちている石も、今あなたが使っているコンピューターも、素粒子(物質を作っているとても小さい粒)で出来ているわけですが、その同じ素粒子が、昔々太陽系が出来るずっと前には、どこかとても遠い星の中にあったのかもしれませんし、宇宙空間を漂っていたのかもしれません。そう考えると、宇宙がずっと身近になって楽しくなりませんか。 |