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西田篤弘宇宙科学研究所名誉教授、文化功労者に選ばれる

このたび宇宙科学研究所名誉教授西田篤弘先生は、文化功労者に選ばれました。

西田先生は1958年に東京大学理学部物理学科をご卒業の後、ブリティッシュコロンビア大学で理学博士の学位を取得され、シカゴ大学研究員、東大理学部助手、東大宇宙航空研究所助教授、同教授を経て、1996年に宇宙科学研究所長となり、2000年1月の任期終了まで宇宙科学の教育・研究に努められました。
退官後は2002年3月まで日本学術振興会監事、2004年4月から2008年3月まで総合研究大学院大学理事を務め、日本全体にわたる学術の振興に尽力されました。

西田先生の研究分野は電磁流体力学を基盤とする宇宙空間物理学で、最初の大きな研究成果は地球プラズマ圏の成因に関するものです。磁気圏内のプラズマの運動が太陽風との相互作用により磁気圏内に誘起される大規模な対流運動と地球の自転による共回転運動の和で表されることを示し、プラズマ圏の形成を理論的に示しました。この研究は電離層イオンの流出という斬新なアイデイアを生み出し、一方、太陽風と地球磁場の相互作用で作られる磁気圏という新しい視点を産み出しました。
その後、西田先生は、磁気圏のグローバルなダイナミックスの研究において、基本的な物理過程としての磁気リコネクションモデルの確立に大きな貢献をしてきました。西田先生の強力なリーダーシップによって実現をみたジオテイル衛星は初の本格的な日米共同プロジェクトです。同衛星は、独特の軌道設計により磁気圏尾部と磁気圏境界領域の観測に最適で、磁気リコネクション過程とそれに伴う粒子加速を実証するなど、次々と新しい成果を生み出してきました。ジオテイル衛星は、世界的にも1990年代の磁気圏物理学で最も成果を上げた衛星との評価を得ており、同衛星の観測成果をもとに、西田先生が中心となって編集・出版された “New Perspectives on the Earth’s Magnetotail"は1998年の米国出版協会最優秀図書(物理学、天文学分野)に選ばれました。

西田先生は文部省学術国際局科学官、測地学審議会委員、宇宙開発委員会専門委員、学術会議宇宙空間研究連絡委員会委員長を歴任し、日本学術振興会監事ならびに総合研究大学院大学理事を務めるなど、日本における学術の振興に尽力してきました。また専門分野では国内外の学会で会長等を務め、2008年12月には日本学士院会員に選任されています。

西田先生は、田中館賞(1966年)、長谷川・永田賞(2000年)、紫綬褒章(1998年)、東レ科学技術賞(2000年)、日本学士院賞(2001年)の受賞の他、国際的にも1988年アメリカ地球物理学連合のフェロー、1990年王立天文学会のアソシエート、1993年国際宇宙航行アカデミーの会員に選任されたほか、1999年ロシア宇宙航行学協会よりガガーリンメダル、2001年ヨーロッパ地球物理学会よりアルフヴェンメダル、2006年国際宇宙空間研究委員会(COSPAR)より宇宙科学賞、2009年アジア太平洋地球物理学会よりアクスフォードメダルなど、栄誉ある賞を授与されています。

このたび、文化功労者として叙せられたことに、心からお祝い申し上げます。

2012年10月31日

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