RATS2
インフレータブル型データ回収システム
(RATS2)
近年、観測ロケット実験において、テレメトリ通信では取得できないような大容量の実験データ、及び高価な実験装置の再利用のため、実験機部回収の要望は高まっている。しかし、日本では国土の狭さから、実験機を海上に落下させる必要があるため、パラシュート等を用いた緩降下システムに加え、海上浮遊機能が必要になり、技術難易度が非常に高くなる。そのため、これまで継続的には回収実験は実施されていなかった。
これらを背景として、2021年7月観測ロケットS-520-31号機にて、展開型エアロシェルを用いた観測ロケット実験データ回収モジュールRATS(Reentry and recovery module with deployable Aeroshell Technology for Sounding rocket experiment)が開発され、大容量データの海上回収に成功した。RATSで採用された展開型エアロシェルを利用した大気突入システムは、はやぶさ・はやぶさ2等の従来システムとは違い、新しい選択肢として注目されており、大気突入技術を革新できる可能性を秘めている。
今回のRATS2では初号機と同様のシステムを用いて、メインPIのデータ回収を目指す。また、RATSシリーズは今後も観測ロケットの回収オプション機器として、定常的に運用されていく予定である。

◆RATS2システム全体質量:13.6kg
◆突入部質量:4.8kg
◆RATSシステムサイズ(エアロシェル収納時):直径370mm×高さ500mm
◆突入時の突入機サイズ(エアロシェル展開時):直径1.5m×高さ360mm

エアロシェル展開状態(直径1.2m)