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$\chi ^2$(カイ二乗)分布

平均$\mu$, 標準偏差$\sigma$である正規分布に従う確率変数$x$を、えいやっ、と取ってきて $(x - \mu)/\sigma$ という量を作ってみよう。これは、0の回りに対称にばらつき、大きく0からずれることは稀なので、 -1から+1の間の値を取る事が多いだろう。

では、同じ正規分布を考え、そこから $x_1, x_2, x_3, ,,x_N$という$N$個の値をとってきて、

\begin{displaymath}
\chi^2 \equiv \sum_{i=1}^N \left(\frac{x_i - \mu}{\sigma}\right)^2
\end{displaymath} (243)

という量を定義したら、その値はどうなるだろうか? 各項は1の回りにばらついているので、$\chi ^2$$N$の回りにばらつくはずである。 $\chi ^2$の従う確率分布を自由度$N$$\chi ^2$分布(カイ二乗分布)と呼ぶが、その平均は 上記の推測通り$N$である。また、その分散は$2N$であることがわかっている。 $\chi^2/N$のことをreduced $\chi ^2$ ( $\equiv \chi^2_N$) と呼び、この値は1に近い。   $\chi ^2$分布の表式はやや複雑なので、ここには記さないが、それをプロットしたものは 図18の通りである。それぞれ、自由度が平均に なっていること、(当然であるが)積分すると1になっていることに注意。

Figure: 自由度1, 2, 3, 5, 7, 10, 15, 20の$\chi ^2$分布。''Statistical and Computation Methods in Data Analysis''(ISBN 0-7204-0334-0)より。
\begin{figure}\centerline{
\epsfig{file=chi2.ps,width=11cm,angle=0}
}
\end{figure}



Ken EBISAWA 2011-05-30