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角運動量、中心力、角運動量保存則

時刻$t$における質点の位置ベクトル$\bm{r}(t)$と、運動量$\bm{p}(t)$との外積 $\bm{r}\times \bm{p}$を、原点Oに関する質点の、時刻$t$における 角運動量と言う(以下、$\bm{l}$で表す。)。

\begin{displaymath}
\bm{l} = \bm{r} \times \bm{p} = \bm{r} \times m  \bm{v}.
\end{displaymath} (190)

角運動量ベクトルは、$\bm{r}$$\bm{v}$を含む平面に垂直で、その向きは、 $\bm{r}, \bm{v}, \bm{l}$が右手系をなす向きである。 質点が原点の周りに描く扇型の面積速度は
\begin{displaymath}
\frac{dS}{dt} = \frac{1}{2} (\bm{r} \times \bm{v})
\end{displaymath} (191)

であるから、角運動量は面積速度の$2m$倍である。

\begin{figure}\centerline{
\epsfig{file=angularmomentum.eps,height=5cm}
}
\end{figure}

(190)式を微分し、運動方程式 $d\bm{p}/dt =\bm{F}$を用いると、

\begin{displaymath}
\frac{d \bm{l}}{dt} = \bm{r} \times \bm {F}.
\end{displaymath} (192)

右辺を力のモーメントまたはトルクと呼ぶ。ある時刻における質点の角運動量の時間変化の割合は、その時刻に質点に作用する力のモーメントに等しい。

特に、力のモーメントがゼロの時、角運動量は一定に保たれる。これを角運動量保存則、あるいは面積速度保存則と言う。 力がゼロでなくても、それが働く方向が原点Oを通る場合(中心力)、$\bm{r}$$\bm{F}$は平行なので、 $\bm{r} \times \bm{F}=0$。 よって、質点が重力によって原点Oに引かれながら運動するとき、Oの周りの角運動量と面積速度は運動中一定に保たれる。 これから、「惑星と太陽を結ぶ動径は、単位時間に一定の面積を掃く」という ケプラーの第二法則が導かれる。

角運動量の大きさ$\vert\bm{l}\vert$$h$とする。速度ベクトル$\bm{v}$$\bm{r}$に平行な成分$v_r$と垂直な成分$v_\theta$に分解すると、 下図からわかるように、

\begin{displaymath}
v_r = dr/dt,
v_\theta = r d\theta/dt
\end{displaymath} (193)

である。
\begin{figure}\centerline{
\epsfig{file=angular2.eps,height=5cm}
}
\end{figure}

$h = m r v_\theta$だから、

\begin{displaymath}
h = m  r^2\: \frac{d \theta}{dt}
\end{displaymath} (194)

である。



Ken EBISAWA 2011-05-30