プランク定数は、小さなスケールに於ける物理現象
を記述する量子力学に出てくる。ただし、シュレディンガー方程式には
は
でてくるが、
も
も出てこない。これは、素粒子が光速に近い速度で
動いていることを考慮せず、また素粒子同士の重力を考慮していないからである。実際には、素粒子は
光速に近い速さで運動しているので、シュレディンガー方程式に特殊相対性理論の効果を
考慮したディラック方程式が必要になり、
ここには必然的に
と
が出てくる。
その後、素粒子論は発展し、現在では、自然界に存在する四つの力、電磁相互作用、弱い相互作用、強い相互作用、重力相互作用のうち、重力相互作用をのぞく三つを統一する可能性がある標準理論
(と
を用いて記述される)が研究されている。そのような理論を検証するには、素粒子をほとんど
光速まで加速して衝突させて、とことんばらばらにする必要があり、そのためにCERNのLarge
Hadolon Collider
のような
巨大加速器実験が行われている訳である
。
さらに、素粒子間の重力まで考慮に入れて、4つの相互作用を統一的に説明する理論、
、
、
が同時に出てくる理論はあるのだろうか?そのような量子重力理論は
まだ存在しない。少なくとも、正しい、と広く受け入れられているものは。
また、そのような理論の検証には、言ってみれば素粒子間に働く重力の測定が必要であり、それは
地上ではほぼ不可能である。それが実現しているのは、この宇宙ではビッグバンの瞬間にしかないわけで、
必然的に素粒子論の研究は、ビッグバンの起源を探る研究になる
。
いずれにしろ、我々が知っている限り、この宇宙の物理法則は、を用いて記述される。
これらの定数から自然に導かれる時間と長さと密度が、物理法則で記述できる最小の時間(プランク時間)と空間(プランク長)と最大の密度(プランク密度)である。
プランク時間、プランク長が、現在の物理学で考えられる時間と空間の最小単位である。すなわち、現在知られている
物理常数をどう捻っても、これ以上短い時間や空間は作れない。
非常に大雑把に言って、ビッグバンからプランク時間後の宇宙の大きさが
プランク長、そのときの宇宙の密度がプランク密度である。その頃の物理状態を記述するのが量子重力理論である。