No.197 |
ISASニュース 1997.8 No.197
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レンズの絵を描きます。左の方に光の点があったとすると,反対のどこかに集まります。その時は,どこを通った光も「光路差」は同じです。レンズの中は光がゆっくり進むので光からみた光路差(時間)は同じです。光路差が同じだから,光の波が打ち消さずにそろって到達したのだとも言えます。
別の点からの光は,また別の所に集まります。
それぞれの所に光の強さに感じるもの,視細胞をおけば,光を感じる事ができます。これをほどよく並べると,それが網膜面になり,レンズの部分は水晶体のうちの瞳の部分になり,目ができあがりです。
これで,方向の違いによる明るさの分布(映像)が得られます。撮像装置のできあがりです。
網膜に至るまでは,光は波として振る舞っています。瞳のいろいろな部分を通過した光もそれぞれに進んで,強め合ったり弱め合ったりしています。目は,瞳の各部分を素子とする干渉計だと言ってもいいのです。
極端な話,瞳だって全てが開いて光を通す必要はありません。瞳の前に好きな模様のマスクをかけてみましょう。それでもそれなりに像は見えるはずです。更に極端に,2ヵ所だけ光を通せるようにしたら,理科で習った光の干渉実験そのものです。
ここまでは,光の話をしてきましたが,根本的には波であればなりたつ話をしてきたつもりです。ですから,事は電波でも,音波でさえも同じです。
発想の転換をします。波を瞳の各部で捕らえてしまったらどうでしょう。波として振る舞っているのですから,刻々として変化する多量の情報の流れです。
そうしたら,右側の網膜の面(イメージの面)で波がどう強め合ってどうなるかを計算するのは原理としては簡単です。計算はFFT(高速フーリェ変換)そのものです。これを実現するアナログ回路では,バトラーマトリックスというのがあって,FFTと等価です。
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更に,対象の方が時間的に変わらないようなものであると,更にうまい方法があります。開口合成型といわれる電波望遠鏡は,この方法を使います。VLBIやスペースVLBIもこのやり方です。
「なんだ,VSOPの巨大な瞳も私の目も同じなんだ」と,うなづいていただけたら,今回は大成功です。
原理は簡単ですが,現実はなかなか厳しいのです。後は,私より優れて若い村田さんがお相手します。
(ひらばやし・ひさし)
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