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M−Vロケット7号機
 第1組立オペレーション



 梅雨の真っ最中です。「いつ作業を止めるか」で保安主任が悩む時期です。常に天気予報,雷注意報に注意を払わねばなりません。台風も来ます。怖い先生も来ます。

 内之浦宇宙空間観測所にて6月22日から始まったM−Vロケット7号機の第1組立オペレーションは2週間が経過,折り返し点を通過しました。従来,第1組立オペレーションは,各段ロケットの推力方向制御装置のチェックを行って,1段,2段のノズルを結合して終わりですが,このオペはさらに1段,2段を整備塔に運んで結合するところまで進めることになりました。それに伴い,期間も1ヶ月に。

 さて,冒頭で述べた雷ですが,6月26日に所内で広範にわたって落ちました。いろいろな機器に影響が出ましたが,幸いこのオペに支障をきたすようなことはなく,すでにほとんどが修復しています。

 今は避雷針に黄色い球形の装置が付けられていて,雷が落ちると,その中に仕込まれている火薬が発火,球が割れて赤い布が「ペロン」と垂れる仕組みになっています。作業が行われているM台地では,整備塔を含め,3ヶ所に雷が落ちました。落ちた当日は赤いペロンが三つ見えていましたが,迅速に交換されて,今では元通り黄色い球が見えています。もう見たくありません,ペロン。

 作業は順調です。さすがに,短期間で2機打ち上げた直後だけあって,毎日きびきびと進められています。残業も少なく,実験班員の疲れが蓄積されないのは幸いです。長丁場なので。世の中には,「慣れてくると信頼性が落ちる」などと言う口の悪い人がいますが,M−Vに限っていえば,そんなせりふは通用しません。何としても打上げを成功させるという意識を常に高く持って,集中力を途切れさせることなく作業を続けていますので。どうぞ,皆さんご安心ください。

 写真は,先日行われた全員打ち合わせの模様です。右側の壁に,歴代のロケットの成功を祝う寄せ書きが掛けられています。ここに新たな歴史が刻まれることを願ってやみません。

(堀 恵一) 


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ISASニュース No.304 (無断転載不可)