3月7〜11日の5日間，チリのサンチャゴで化学推進関係の国際シンポジウムISICP(International Symposium on Special Topics in Chemical Propulsion)に参加してきました。南米は初体験。なかなか面白かったし，疲れもしました。

　成田→サンチャゴの直通便はありません。どこかで経由する必要があります。普通はアメリカ西部の都市を経由しますが，恐ろしく安いチケットがあったので思わず飛び付きました。トロント経由です。北米・南米の土地勘のある人なら目まいがしそうなルートですが，とにかく乗りました。

　普通は10時間超のフライトは1回で済みますが，今回は2連続。この疲労蓄積が直接の原因かどうかは知りませんが，とにかく2日間の時差調整不能状態に陥ってしまいました。2時間睡眠が2日続き，時差ボケのピークで迎えた自身の口頭発表は，何と「ろれつ」が回らぬ始末。その後のChairperson's Dinnerでは，チリワインの援軍を得た睡魔との格闘で極めて劣勢となり，同席した家内に何度も揺り起こされてしまいました。

　サンチャゴは思っていた以上に大都市でした。500万人以上の人口を誇り，チリ全体の人口が約1500万人ですから，まさに一極集中です。チリの人によると，地方の人は一旗揚げてサンチャゴに行くのが夢だそうですから，まだまだこの傾向は続きそうです。また，旧スペイン領ということで，街並みはまったくヨーロッパ風でした。私はスペインに行ったことはありませんが，きっとスペインの街並みもこんな感じだろうな，と想像しながら散策しておりました。

　体調を崩す人がたくさんいました。ホテルの水を飲まないのはもちろんのこと，サラダを食べるな(水洗いするので)といわれていましたが，こってりしたチリの料理が続くとどうしてもサラダを口にしたくなるようで，日本人だけではなく欧米の参加者の多くもおなかを壊していたようです。ちなみに，私は筋金入りの野菜嫌いなので，サラダはもともと食しません。おかげさまで，おなかは終始好調，チリワインもおいしくいただけました。

　シンポジウムは，“Advancements in Energetic Materials & Chemical Propulsion”を主題とし，非常に幅広い研究が数多く発表されました。しかし，Best Invited Lecture賞にナノ推進関連のLectureが選ばれ，Best Presentation賞に選ばれた2件も何と両方ともナノ粒子関連の発表！ まあ，どこの世界も今はナノばやりなのですが，いささかへきえき致しました。

Chairperson's Dinnerにて決定

　本題に戻りましょう。Chairperson's Dinnerは，いろいろな決め事をする大事な打ち合わせでもあります。次回のシンポジウムの開催地もこのDinnerの中で決定されます。過去，北米，ヨーロッパを回って，そして今回南米と来ましたので，誰しもそろそろアジアでと思うところです。この世界，アジアといえば，まずは日本が浮かびます。で，日本開催となると何といっても京都です。「そろそろ京都に行ってみたい」という外人委員たちの情念が，私に向けて押し寄せられました。「京都いいねぇ」「おまえがChairをやればいいじゃないか」「奈良にも行きたい！」。無責任としか思えない発言が相次ぎ，対抗候補地すら出ない状況となり，あえなく寄り切られました。

　2007年，京都で化学推進関連のシンポジウムが開催されます。もちろん成功に向けて全力で頑張りますが，どうか少しでも関係のありそうな方，ご協力をいただければと思います。どうぞよろしくお願い致します。

(ほり・けいいち)　

陸軍クラブの裏庭で