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一般公開開催される

 宇宙科学研究所の活動を広く所外の方々に理解していただくために,毎年恒例になっている相模原キャンパスの一般公開が7月31日(土)に開かれました。

 今年は,5会場41のブースが展示,実演,講演等を行いました。水ロケットを一生懸命作り,初めての打ち上げに目を輝かせ,作ったロケットを大切に抱えて帰る子供達。子供ミニミニ宇宙学校では,子供達の難問・奇問の連発に講師をつとめて下さった先生達が答えに窮する場面もありました。M-Vロケット実機体の大きさに驚き感激している人々,その他,各ブースを興味深げに見入っている人々で会場内は大盛況でした。今年は,子供放送局の開局記念として,子供達が実際に参加して,相模原キャンパスと鹿児島宇宙空間観測所を結んで3時間にわたって一般公開の様子が実況放送されました。

 また,今年の2月に逝去された「ペンシル・ロケットと日本の宇宙開発の生みの親」である糸川英夫先生を偲ぶパネルも展示されました。開催当日は猛暑にもかかわらず,10,391人の人々が入場くださり,大変な賑わいと熱気に包まれた一日となりました。ご協力くださった400人を越える職員,学生の皆さんにこの場を借りて深くお礼申し上げます。

(山上隆正)


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MUSES-C用マイクロ波イオンエンジン18,000時間耐久試験達成

 西暦2002年に打上げを予定している小惑星サンプルリターン衛星(MUSES-C)の惑星間航行用エンジンとなるマイクロ波イオンエンジンの地上試験モデルの耐久試験が終了した。従来のイオンエンジンは直流放電によりプラズマを生成し,イオンを静電加速する機構であるため放電電極損耗や静電加速用グリッド損耗がエンジン寿命を左右した。宇宙科学研究所では,マイクロ波を用いて無電極放電のプラズマ生成機構を採用し,極めて独創的なイオンエンジンの開発を進めている。一口で18,000時間とはいうものの,これはおよそ2年以上に亘る連続運転で,MUSES-Cの地球−小惑星−地球の往復惑星間航行に必要なミッション要求である。今回の試験は1997年2月14日から始められ,途中,13,000時間から18,000時間にミッション要求が上乗せされる厳しさがあったものの1999年7月28日に無事達成した。

 耐久試験に供したモデルを用いて,推進性能試験やフライトモデルの設計に必要な確認試験を行う必要から合計6回の耐久試験の中断を余儀なくされたが,試験装置の有効利用や人員の制約から最善の試験が行われた。この試験でクリティカル部品と思われていた炭素繊維製の静電加速機構(グリッド)に当初予想されていた劣化はほとんど見られなかった。写真は,使用前には真円であったグリッドのイオン排出穴(直径2.6mm)が18,000時間の耐久試験後にスパッタリングによって6角形に侵食された様子を示す。しかしながら,この侵食による重大な性能劣化は無く,ミッション最終期の初期性能からの劣化はわずか数%程度である。

(清水幸夫)


6角形に変形したイオン排出穴

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ASTRO-Eの近況

ASTRO-E総合試験は9月で開始から半年が過ぎました。これだけ大規模な衛星となるとそろそろ個人が全てを隅々まで把握できる限界に近付いてきており,また電源やテレメトリなどの衛星の根幹を支えるシステムも従来の衛星から抜本的な設計思想の変更が行なわれています。その為かこの半年の間に各種インタフェースでいくつかの細かな不整合等が発覚したりもしました。また,搭載機器の複雑化と点数の増加,およびそれらを限られた体積に収納するための構造の複雑化により,試験中に何度も行なわれる組み立て・分解の手順もさながらパズルのようになっています。

ASTRO-Eには特性の異なる3台X線検出器が載りますが,それぞれに限界性能を引き出すために工学的に厳しい要求が生じています。 XRSは今までに無く微細なエネルギー分解能を特徴としますが,その為に大量のネオン・ヘリウムとそれを維持するためのデュワーを必要とし,また機械振動を極端に嫌います。HXD硬X線での過去最高の感度を持ちますが,これの実現のためにかつてない大量の計装配線を必要とします。XISは「あすか」のSISの発展型で,その性能を引き出すために放射冷却系に大変厳しい要求を突き付けます。

このような潜在的遅延要因にも関わらず,現在までのところ厳しい日程をやりくりする事で,関係者に必要な休みも確保しつつ当初予定していたペースでなんとか試験をこなしてきました。現在インタフェースと熱真空試験をほぼ終了し,今後は振動・衝撃等の機械環境の試験,最終調整と計測などが11月末まで続きます。

(尾崎正伸)

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「あけぼの」10周年ワークショップ

 1999年2月満10歳の誕生日を迎えた「あけぼの」衛星を記念してワークショップが開催された。「あけぼの」搭載の観測器の一つにカナダとの協力で搭載しているSMSという機器がある。極地域上空から逃げ出している酸素イオンの観測で功績の大きい観測器である。この観測器の責任者であるカルガリー大学のヤウ教授のグループが中心になってワークショップの準備が進められた。その結果,去る7月4〜6日,カルガリーから車で一時間あまりのカナディアンロッキーの景勝地バンフでワークショップが開催されることになった。50人規模のワークショップであったがカルガリー大学のきめこまかい準備と快適な気候のおかげで,しばし,学問の世界を楽しむことができた。10年以上にわたり苦楽を共にしてきた古い友人たちも多数出席しており,同窓会の雰囲気が漂うワークショップでもあった。さすがに10年の長期にわたる均質なデータの蓄積は出席者に感銘を与えたようで,長期変動を中心にした成果を特集号として学会誌(米国)に出そうという話に発展しつつある。「あけぼの」は今二つの課題を抱えている。一つは太陽活動の一周期にわたる観測を全うすること,もう一つはSDBと称している研究用のデータベース作成のペースをあげることである。今回のワークショップは両方の活動にも大きな励みとなったと考えている。

(鶴田浩一郎)

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「ようこう」日蝕観測

 「ようこう」は1991年8月30日の打ち上げ以来,今年は8年目の夏を迎えようとしている。観測ターゲットを突然見失う「日蝕」観測は,この衛星には鬼門と思われてきたが,それも理屈が判って,今では地上との共同観測も合わせて,大いにサイエンスができるチャンスになっている。8月11日,大西洋に始まり,名だたる欧州の大都市を貫き,黒海を渡り,中近東・印度を経由して,ベンガル湾に終わる, 「今世紀」いや「西暦一千年代」最後の皆既日蝕を,「ようこう」も2回の部分蝕として観測することができた。

 KSCにおける衛星追跡は, 月の本影が,ちょうど日本の地上観測隊(国立天文台/京都大学)がいる,トルコを通過している時(日本時間20時30分)に始まった。衛星の軌道条件はベストに近かったが,軌道傾斜角31度のこの衛星には,改めて欧州が高緯度に位置することを思い知らされた。


「ようこう」の部分蝕 (日出帯蝕)

 最初の部分蝕のデータは,多くの方のご努力により,即座に鹿児島から相模原に送られ,21時20分までには, 既に「ようこう」のホームページ(
http://www.solar.isas.jaxa.jp)に掲載された。夏休みで久米宏氏のいない「ニュース・ステーション」(テレビ朝日)の放映に,無事間に合ったのはご承知の通りである。

(国立天文台 渡邊鉄哉)

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第3回国連宇宙会議(UNISPACE III)開かれる

 7月19日から31日までウィーンのオーストリアセンターで,第回国連宇宙会議が前回から17年ぶりに開かれました。今回のテーマは「21世紀の人類に宇宙はどう貢献するか」で,世界各国の政治家,科学者,宇宙関係機関,企業などから3000人が参加しました。これと合わせて7月18日から23日まで展示会が開かれ,宇宙研も宇宙開発事業団と共同で日本ブースとして参加しました。宇宙研からはM-Vロケット,「はるか」,「のぞみ」などの1/10模型7点を出品しました。展示会には会議参加者や一般市民が多数見学に訪れましたが,ちょうど夏休みに入ったところで家族で楽しむ姿が目立ちました。

(周東三和子)


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2000年度 宇宙開発計画見直し要望

 宇宙科学研究所では,2000年度の宇宙開発計画に関して下記の4項を宇宙開発委員会に申し出ていたが,同委員会の計画調整部会の審議を経て,8月4日の委員会でいずれも承認された。

1. 第22号科学衛星(SOLAR-B)の開発について
 太陽表面の微細磁場構造とその運動を高精度で観測し,太陽大気(コロナと彩層)の成因とフレアなどの太陽活動の原因を解明することを目的とする,第22号科学衛星(SOLAR-B)をM-Vロケットにより,2004年度に打ち上げることを目標に2000年度から開発したい。

2. 第17号科学衛星(LUNAR-A)の打ち上げ年度の変更について
 第17号科学衛星(LUNAR-A)については,1999年度に打ち上げ予定であったが,ペネトレータの一部に見直しを要する部分が発見され,再試験に時間を要するため,2002年度の打ち上げを目標に準備を進めたい。

3. 第20号科学衛星(MUSES-C)の打ち上げ年度の変更について
 第20号科学衛星(MUSES-C)については,2001年度に打ち上げ,小惑星ネレウスからのサンプルリターンを行う予定であったが,探査機の重量増に対応するため,目標小惑星を1989MLとし,打ち上げ年度を2002年度に変更したい。

4. M系ロケットについて
 第22号科学衛星(SOLAR-B)を2004年度に打ち上げることを目標にM-Vロケットの開発を引き続き進めたい。

(松尾弘毅)

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