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1999年度第1次大気球実験終了

 1999年度第1次大気球実験は,1999年5月10日から当初の予定より4日延びて6月3日まで三陸大気球観測所において実施されました。この期間にB3型気球1機B150型気球1機B100型気球1機の計3機を放球しました。

 B3-1号機の実験は,月号に記したとおり,将来の大型スーパー・プレッシャー気球開発の第1歩を踏み出すことができました。

 B150-4号機は,5月24日に放球されました。実験の目的は,高エネルギー一次電子のスペクトルを測定することにより,宇宙線の銀河内伝播の情報および宇宙線の源を調べることでした。観測器は20時間の飛翔後,青森県深浦港西方40kmの海上に緩降下させました。観測器は7月8日に完全な形で無事回収されました。

 B100-6号機5月31日に放球されました。実験の目的は,クライオジェニックサンプル法による成層圏大気の採集でした。当日はジェット気流が弱く,太平洋側に気球が余り進行しないことが予測されたため,上昇速度を1.5m/s〜2m/sにコントロールし,上昇中に大気の採集を行いました。大気の採集は,当初予定した高度14kmから35kmまでほぼ等間隔に11高度で行うことができました。観測器は海上に着水後30分で無事回収されました。採集された大気試料は,研究室に持ち帰り,さまざまな成分の濃度,同位体の測定を行うことにより,成層圏における大気循環や光化学反応過程の解明に大いに役立つと期待されております。

(山上隆正)

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MUSES-C無重力試験

 衛星を回転しながら分離できるスプリングの無重力試験を北海道上砂川町の無重力実験塔で行いました。主衛星の横に小型衛星をちょこんと置いて,一緒に宇宙まで運んでもらう。回転しながら分離すればある程度の姿勢安定は確保できるので,大層な姿勢制御装置はなくてよい,という発想から小型衛星用分離機構として開発しているもので,MUSES-Cカプセルの分離にも使います。今回の試作品は設定したスプリング力が弱く,重力下では衛星の重さに負け伸展できないために「無重力環境での分離試験」となりました。まず心配したことは「4月の北海道にオーバーコートは必要か」です。往きに立ち寄った大通公園の日射しは暖かく,半袖短パンの人々で賑わっていましたが,山沿いのあちこちに山積みの雪が残り,無事試験を終え帰る日は小雪が舞うホームで長いこと電車を待ちました。「甘く見てはいけない」というのが最大の教訓でしょうか。

(石井信明)



 ターゲットマーカの試験も行いました。ターゲットマーカとは,MUSES-Cに搭載される航法装置のひとつです。MUSES-Cでは探査機が小惑星表面に接地する30分くらい前に,ターゲットマーカを地表面に投下します。探査機は投下されたターゲットマーカを灯台代わりにして,安全に小惑星に接近・接地するのです。ところが,小惑星のようにほとんど重力が働かないところに物を投下しても,工夫をしなければ,大きくバウンドをしてしまい,灯台代わりとすることができません。今回の試験では,新たに工夫した低反発 機構の有効性を確認することを目的に3回の落下実験を行い,貴重なデータを取得することができました。また小惑星表面での新しい移動メカニズムの検証も併せて行い,良好なデータを得ることができました。

(澤井秀次郎)


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M-V-4号機モーションテーブル試験終了

 去る5月18日から開始した,ASTRO-Eを打ち上げるM-V-4号機むけのモーションテーブル試験は,無事 6月18日に終了しました。毎号機のこととはいえ,搭載される慣性センサ,航法・誘導計算機を用いる最終の試験であるだけに,試験は慎重を期し,時には深更におよぶまで十分な時間を費やして行われました。今号機の飛翔シーケンスは,M-Vになっては初めての標準機構成です。M-Vロケットの第2段目は,5号機からは新型のモータに移行する予定で,制御系の要素としても,LITVC(2次流体噴射式の推力方向制御器)は可動ノズルに変更されることになっており,今回での試験が最後になります。第12段の制御には,格別の変更はありませんが,第3段での衛星分離では,これが標準ではありますが,姿勢を180度反転させる制御が導入されています。これは,衛星が最初の遠地点で行う近地点高度上昇のためのマヌーバを,円滑に行わせるために行われる,打上げロケット側からの支援です。姿勢は,第3段が燃え終わってほどなく,鹿児島から可視の間に,地表面方向を経由して正反対の方向へと移行します。ちょうど,鹿児島に望遠鏡の開口部が向くことになります。衛星分離の際の追突防止のマヌーバも今回から初めて採用された方式で,第3段のロケット側の姿勢制御装置(SJ)を用いて,姿勢をほぼ進行方向から鉛直に近いむきにまで方向を変え,残留推力加速度と姿勢操作によって発生する自らの回避運動を併用して,衛星から退避するマヌーバです。今回は,衛星分離はクリスマス島からの可視時間帯の中で行われる予定です。最終日の6月18日には,所内関係者へのデモンストレーションも行われ,普段はなかなか関心を集めにくいこのモーションテーブル試験ではありますが,大勢の方々にご高覧いただくことができました。まずは,無事,姿勢制御系試験は終了ということで,ASTRO-E打上げに向けて1ステップ進めることができたことをご報告いたします。

(川口淳一郎)

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DASHの開発進む


 2000年2月の打上げを目指して,現在DASHの開発が進められています。DASHは,将来のサンプルリターンミッションに必要な大気圏再突入技術の確立を目指したいわば工学試験衛星ですが,静止トランスファー軌道に打ち上げた後,軌道離脱して大気圏に再突入し,最終的にパラシュートで緩降下させ回収しようというもので,大気圏に再突入するカプセル部と軌道上での姿勢制御,軌道離脱を行うオービター部からなっています。カプセル部が20キロ,全重量が約90キロという小型の衛星で,現在宇宙開発事業団で開発中のH-IIAロケットでピギーバックミッションとして打ち上げられることになっています。昨年から開発を進めていますが,詳細設計もやっと収束し,サブシステムの開発が進められています。写真は先日あきる野施設で行われたDOMの燃焼試験の様子です。DOMは軌道離脱用の固体モータで,その性能を正確に把握することが試験の目的です。DASHはピギーバックミッションで,重量や大きさに制限があり,そのため,DOMの長さも出来るだけ切りつめる必要がありました。このため,写真からもお分かりのように,ノズルを極端にモータ燃焼室に押し込めた設計になっています。今後の予定として,8月中旬から噛合せ試験を行い,10月から総合試験を行う予定です。今年の冬期は,ASTRO-E衛星の打上げが予定されているため,試験等のスケジュール調整が難航していますが,関係の皆様のご理解を得ながら進めていくことになります。DASHは小規模のミッションながら,打ち上げに関しては,宇宙開発事業団,軌道決定に関してはチリ大学など,宇宙研内外のさまざまな協力を得ながら進めております。打上げまで1年を切り,あわただしく準備を進めておりますが,関係の皆様の更なるご協力をこの場を借りてお願いしたいと思います。

(安部隆士)

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LUNAR-A打ち上げ延期

 LUNAR-Aミッション(第17号科学衛星)は1999年度夏期の打上げを目指して準備を進めてきたが,1998年11月〜12月に行われたペネトレータの貫入時における耐衝撃性に関する最終確認試験において,ペネトレータ内部に不具合が発見され,その対策に時間がかかるために打上げを延期することにした。

 ペネトレータの耐衝撃性の最終確認試験は,米国エネルギー省サンディア国立研究所において行われたが,この試験においてペネトレータ内部に使われている計測機器固着用のポッティング材の内部に一部クラックが発生,伝播し,計測回路の電子基板の層間剥離,計測回路とDPU部間をつなぐフレシキブル基板の破損が起きていることが判明した。また月震計の要素である6本のバネ材のひとつにも破断が発見された。これらの不具合の対策方法とその確認方法などについて,現在詳細な検討が行われている。

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「第6回アジア太平洋地域宇宙機関会議

 1999年5月24日から27日まで,宇宙開発事業団つくば宇宙センターにおいて,第回アジア太平洋地域宇宙機関会議(APRSAF)が開催され,当該地域から20カ国国際機関の代表108名が出席しました。今回の特徴は,恒例の地球観測,リモートセンシングなどの情報交換に加えて,宇宙教育のセッション,1999年7月にウィーンで開かれる第回国連宇宙会議(UNISPACE3)への準備討議が行われたことでした。会議では,私が総合議長をつとめました。科学技術庁・宇宙科学研究所・宇宙開発事業団の共催でした。

(的川泰宣)

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