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LUNAR-Aの総合試験が10月5日から始まりました。推進系取り付けのためスラストチューブは担当メーカーにあり,クリーンルームの中には4台の機器ボックスしかありません。隣りで一次噛合中のASTRO-Eと比べると霞んでしまうかもしれませんが,C棟のいろいろな所でペネトレータ関連の試験が実施されており,ようやく最終段階に入ったとの感を受けています。
LUNAR-Aは非常にチャレンジングな計画でありこれまで多くの難関を乗り越え,又これからも乗り越えなければならないと計画担当者は覚悟していますが,来年度の打上げを目指して最後の頑張りどころといったところです。
今後の予定としては,今年11月末から12月上旬にかけて米国でペネトレータの貫入試験(QT:認定試験)を実施する予定で,これがペネトレータシステムの最終確認試験となります。又,11月には,月周回軌道で母船から分離されたペネトレータモジュールの減速に適用される軌道離脱モータ(DOM)のフライトタイプの地上燃焼実験があきる野の施設で実施される予定です。これ等の試験と併行して総合試験は実施されますが関係者一同(メーカーの方々も含めて)来年度に是非打上げる決意で取り組んでいます。今後とも皆様の御支援,御協力を御願いいたします。
(中島 俊)
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各機関の報告では,宇宙科学研究所が従来からのX線天文学や太陽地球系科学の着実な成果に加えて,電波天文衛星「はるか」や火星探査機「のぞみ」によって研究領域を拡大していることが評価された。他機関の中ではNASAの活躍がめざましく,超大型ミッション偏重から中小型ミッション活用に方針を転換し,またオリジン計画という新しい重点目標を樹立したことの効果が早くも現れている。1986年のチャレンジャー事故のあとNASAの科学はハッブル望遠鏡だけで保っているといっても過言でないような状態が10年以上も続いたが,Mars Pathfinder の成功を皮切りに続々と新しいミッションが登場しはじめ,今回の発表には圧倒的な迫力を感じた。特に火星の研究については今後数年間に数機の探査機を集中的に投入して飛躍的に研究を進め,有人探査につなごうとしている。火星探査計画においてNASAは他国の機関の力をも結集してプロジェクトを充実しようとする姿勢を積極的に示しており,宇宙科学の将来計画に世界的な規模で影響を与えるのは必至である。
個々のワーキンググループの報告の骨子は次の通りである。
(1) 昨年からIACGの中心課題は太陽系科学であり,火星探査を対象とすることが昨年度に一度決められていたが,今後小天体の研究を対象として連携協力を進めることになった。小天体の探査は重要な課題であり,また宇宙研のMUSES-CをはじめIACGを構成するすべての機関によって計画されていることが理由である。
(2) 一昨年までIACGの中心課題でありGEOTAIL衛星等によってめざましい成果があげられている太陽地球系科学については,太陽活動極大期に向かって共同研究を拡大継続することになった。
(3) 地上系に関わる新設の Working Group 4 では,地上局間のコマンドの伝送を Space Link Extension (SLE) によって共通化する方針を決め,副委員長に山田隆弘助教授を選んだ。
なお,今年からV. Manno が Executive Secretary になり,次回は宇宙研が担当して1999年11月15日の週に沖縄で開催することが決定された。
(西田篤弘)
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レオニード(しし座)流星群が本年11月17〜18日に,地球に来襲する見込みで,1時間当りの流れ星数(ZHR)は1万以上になると言う人も居る。レオニードは地球との相対速度が 70km/sec にもなり,発生プラズマによる破壊力が強く,宇宙飛翔体への影響が心配されている。流星の基である小隕石は彗星からばらまかれるが,流星群の発生時間や密度については精度良い予測はできないとされている。スペースデブリ宇宙機関会議(IADC)では,注意喚起と共同観測を呼びかけている。
これを受け,天文学者,アマチュア流星観測者,宇宙関係者等で表記の研究会を開催した。第1回(3月24日)は40名,第2回(9月14日)は56名が参加した。異分野間の意見交換が活発に行われ,共同観測や情報交換の計画も作成された。宇宙研にとってはこの結果が,人工衛星等の運用計画に役立つことを期待している。
(高野 忠)
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今年の6月号(No.207)に紹介されたアンテナのペデスタル部にはアンテナの駆動制御機器の他,科学衛星や惑星探査機の追跡運用機器が据え付けられ,機器の特性調整試験が重ねられている。アンテナではEL構造支持部への日照による熱変形を防ぐ防熱カバーの取り付けと,主鏡面の調整作業が昼夜を通じて行われている。夜間は,光学機器を用いた鏡面の測定,昼間は鏡面の調整作業がアンテナのEL角90度,45度,30度でそれぞれ繰り返し行われている。このパネルの調整は,最終的にKSCでの使用頻度が高いEL角30度でアンテナの特性が最良になるように調整が行われる。因みに,主鏡の光学測定ポイントは1300点,パネル取付調整部は2052ヵ所で作業日数は20日が予定されている。
この作業終了を待ってラジオスター(数個)を対象にしたアンテナ指向ビームの測定がEL5゜〜80゜〜5゜で連続して行われる。これはアンテナの自重による構造変形でアンテナが所有する機械軸角(EL角)と電波の放射ビーム軸に誤差が生じるために行われる。このデータはパソコンに入力されアンテナ運用時にEL角の器差補正データとして用いられる。続いてアンテナはEL角に対する雑音温度特性の測定を行い,この雑音温度特性とアンテナの利得でアンテナ特性の評価を行う。また,テレメータ受信機の総合特性もこのアンテナの雑音温度特性をもとに評価試験が行われる。
その他,アンテナとしては自動追尾特性,機械共振周波数測定,最大角速度,角加速特性等の試験が行われISASに引き渡される。竣工期日・11月30日。
(豊留法文)
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宇宙研での採火方法は,テレビ電話により銀河連邦各国からのメッセージを受信し,キーワードがそろったところで,電気熱によりロケット推進薬に点火させ,その火から採火するもので,「銀河の火」と命名されました。
この銀河の火は,相模原市内では走者リレー区間16区間,自動車リレー区間12区間の計28区間リレーされ,次の座間市へと引き継がれました。リレー走者は市民の中から192名が選ばれ,うち,第一区間の走者として私と主計課の前佛さん外10名が参加しました。
当日は,M-Vロケットならば打上げが延期されるであろうと思われるような悪天候でしたが,モデルロケットの打上げは見事に成功し,無事採火が行われました。その後,会場や沿道の市民の方々の声援をいただきながら,パトカーの先導により中継地点の鹿沼公園まで走り終えることができました。
この式典が宇宙研で催されたことは,市民の方々に宇宙研をより身近に感じてもらうという意味において大変意義深いものであると確信するとともに,私も一走者として参加できたことに大変感謝しております。
(穴沢一夫)
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宇宙研と航空宇宙技術研究所(NAL)の定期連絡会が設立され,その第1回目が,10月22日に行われた。
今回の開催場所はNALで,宇宙研からは,松尾企画調整主幹以下10名,NALからは,戸田研究総務官以下13名が出席した。
両研究所の概要の相互の紹介に続き,主な研究プロジェクトの現状の報告や,研究協力,施設利用の当面の課題,共同研究の進め方などにつき,熱心な討論を行った。地理的にも,そして,研究分野的にも近い関係にありながら,意外に,相互に知らない情報があり,今後もより緊密な関係を築いていこうということが,出席者の共通の認識であった。
(中谷一郎)
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この度,東大名誉教授斎藤成文先生は,マイクロ波工学とレーザー光工学の研究におけるご業績と,ロケット追跡レーダーや電波誘導システムなど,宇宙通信関連技術の研究開発における多年のご功績により,文化功労者に選ばれました。わが国の宇宙開発において,その草創の時から今日に至るまで斎藤先生が果たされた役割の大きさと多面にわたるご功績については,今さら申し上げるまでもありません。宇宙科学研究所の私ども一同,先生のこの度のご受賞を,心からお喜び申し上げたいと存じます。
(廣澤春任)
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去る11月3日の文化の日に,元宇宙研所長西村 純名誉教授が勲二等瑞宝章を受章された。西村先生はご専門の宇宙線物理学において,空気シャワーの理論,宇宙線の相互作用の研究で顕著な業績を挙げられた他,エマルションチェンバーの考案者としてもよく知られている。宇宙研では気球部門の指導に情熱を傾けて,あたられた。気球実験場の建設,気球技術の改良に取り組まれ,日本独自の飛揚技術を築き上げた。この度の受章はこのような業績にふさわしいもので,心からお喜びを申し上げたい。
(槙野文命)
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本研究所名誉教授高柳和夫先生が,この度の秋の叙勲で勲二等瑞宝章を受章されました。高柳先生は我が国の原子分子物理学,特に原子衝突研究の育ての親ともいうべき方であり,またその研究を広く宇宙科学の分野に応用して世界的にも注目される数々の成果を挙げられました。先生の蒔かれた種は成長し,来年(1999年)仙台で開かれる「原子衝突物理学国際会議」で大きく花開くのを待っています。
(市川行和)
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また11月2日には噛合せ試験を通じて最大の呼び物(?)である光学ベンチの伸展試験が実施され,関係者の心配をよそに大勢の見学者で賑わいました。写真は伸展前,伸展中,伸展後の光学ベンチの様子です。ASTRO-E のX線望遠鏡は,写真中に見える黒い筒の上に乗っているものを含めて全部で5台あります。いずれも焦点距離が4〜5mと長いため,打上げ時には光学ベンチを縮めておいて衛星をロケットのフェアリング内に収め,打上げ後に伸展して焦点距離を確保します。試験では,ほぼ予定通りの約4分で 1.5m の伸展をすることができました。
(石 田 學)
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(的川泰宣)
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