No.182
1996.5

ISASニュース 1996.5 No.182

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さようならパイオニア11号

 1973年4月5日にケネディ宇宙センターを旅立ったパイオニア11号の電波が,ついに途絶えた。太陽から約45天文単位の太陽系の外縁である。その1年前に打ち上げられたパイオニア10号とともに,名機ボイジャーのさきがけとして木星に接近した。1974年12月2日のこと,接近距離は4万6400kmだった。そして木星スウィングバイを経て1979年9月1日に土星に到達,ボイジャーに先立つこと5ヵ月,パイオニア11号は,土星に接近した史上最初の探査機となった。

 以来パイオニア11号は,未踏の太陽系空間を旅してきたが,その電波はどんどん弱くなる一方で,太陽風や宇宙線などのデータを送りつづけ,一部では,冥王星や海王星の外側にあるかもしれぬ第10惑星との会合が期待されたが,これはかなわぬ望みとなった。パイオニア11号は,有名な宇宙人へのメッセージを記した銘板を搭載している。飛んで行く方向からすれば,数百万年後にアルファ・ケンタウリのD星かフォーマルハウトのK星あたりに接近するから,そこに知的生命がいた,拾われてそこの博物館に展示されるだろうか。信号は途絶えたがパイオニア11号の旅はつづく。

(的川泰宣) 


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