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オランダ宇宙研究機関(SRON)との宇宙科学分野における協力協定等の締結について

オランダ宇宙研究機関(Gathier所長)(*注)と独立行政法人宇宙航空研究開発機構(小野田宇宙科学研究本部長)は、2009年10月28日、駐日オランダ王国特命全権大使(Dr. De Heer)及び宇宙研究開発機構理事長(立川敬二)立会いの下、宇宙科学分野における協力を推進することを目的とする協力協定を締結致しました。また同日、国際X線天文衛星ASTRO-Hミッションにおける共同活動に係る実施取決も併せて締結致しました。

これまで、オランダ宇宙研究機関と宇宙航空研究開発機構では、宇宙科学分野における研究者間の交流を進めて参りましたが、当該協力協定を締結することによって、更に協力関係を発展させ、今回のASTRO-Hミッション協力のような共同活動や人材交流等の国際協力を一層推進していく予定です。

(*注)オランダ宇宙研究機関(SRON):
オランダの宇宙科学及び地球観測分野における中核的研究開発機関。ASTRO-Hミッションにおいては、搭載観測装置(SXS)用関連機器の開発等を担当するとともに、サイエンスチームに参加し科学的研究を行う。また、欧州コンソーシアムによる赤外線天文衛星SPICA搭載観測装置(SAFARI)の検討活動において、中心的役割を果たしている。

(参考)ASTRO-HミッションとSRON協力の概要

2009年10月28日
ASTRO-Hプロジェクトチーム

ASTRO-H

ASTRO-HはJAXA宇宙科学研究本部を中心に日本が開発を進めているX線天文衛星です。「宇宙の大規模構造とその進化の解明」、「宇宙の極限状態の理解」、「多様性にとんだ非熱的エネルギーの解明」、「ダークマター・暗黒エネルギーの探求」をテーマとして、4種類の検出器を搭載し、2013年度に打ち上げを予定しています。
このたび、オランダ宇宙研究機関(SRON)がASTRO-Hミッションに協力することが正式に決まりました。

搭載検出器の一つである、軟X線分光検出器は、世界で初めて“マイクロカロリメータ”を人工衛星上で動作させ、X線光子のエネルギーを精密に測定します。これにより、宇宙の高温プラズマの300km/sの運動が検知可能になります。しかし、非常に明るい天体に対してはこの分光能力が得られないことが予想されていました。

ASTRO-H

5つのフィルターがフィルターホイールに搭載され、天体に応じて使用される。

SRONは、スイスのジュネーブ大学と協力して明るい天体を観測する際に入射強度をコントロールするためのフィルターと、フィルターを回転、選択するフィルターホイール(左図参照)を製作します。X線望遠鏡と軟X線分光検出器の間にフィルターを入れることで、ASTRO-Hは明るい天体でも本来の分光能力を得られます。これによりブラックホールのごく近傍の時空構造の解明などに一層力を発揮します。また、常に検出器のエネルギー測定精度をモニターする較正用X線源もフィルターホイールに搭載します。

オランダと日本は、X線天文学の黎明期から、長い交流の歴史があります。ASTRO-Hでは、それぞれの経験を活かし、衛星の開発や運用の広い範囲で協力をすることで、科学成果を高めていくことを期待しています。

2009年10月28日

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