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トピックス

2008年度の気球実験について

2008年度の大気球実験は、大型気球6機による飛翔実験を行う予定です。

第一次気球実験(5月15日〜6月14日)

B08-01 大気球実験システム実証試験(1)

大樹航空宇宙実験場における大気球放球の第1号機として、今後頻繁に使用することが見込まれる、重い機器を飛翔させる大重量物搭載型気球の代表的型式である満膨張体積80,000m3の大型気球を放球し、高度30km程度を飛翔させる。大重量機器(今回は500kg)を搭載した気球の放球、管制、回収を実施し、大樹航空宇宙実験場における大気球実験システムの健全性を確認する。
【使用気球】満膨張体積:80,000m3 搭載機器:500kg

B08-02 大気球実験システム実証試験(2)

大樹航空宇宙実験場における大気球放球の第2号機として、今後頻繁に使用することが見込まれる、高い高度を飛翔させる高高度飛翔型気球の代表的型式である満膨張体積300,000m3の大型気球を放球し、高度40km以上を飛翔させる。高高度(今回は42km程度)を飛翔する気球の放球、管制、回収を実施し、大樹航空宇宙実験場における大気球実験システムの健全性を確認する。
【使用気球】満膨張体積:300,000m3 搭載機器:250kg

第二次気球実験(8月20日〜9月19日を予定)

B08-03 気球搭載望遠鏡による金星大気観測

金星大気の濃い炭酸ガスによる温室効果は高温高圧な状態を作り出し、大気上層には硫酸の雲が層をなしている。過去には金星大気も現在の地球大気に似た状態で、水も存在したと考えられているが、現在のような状態になった過程は謎である。温暖化が進む地球の未来を見定めるためにも、金星大気の進化過程の研究は重要性を増している。金星の紫外・赤外画像から、上層大気の循環場を導出し、大気ダイナミクスの視点から金星大気進化過程を探る。極域成層圏からの惑星光学観測は、観測条件やコストの点で地上大型望遠鏡に匹敵する成果が期待できる。今回の実験では、気球搭載望遠鏡システムの性能と、金星大気上層雲の構造を確認することを目的とする。
【使用気球】満膨張体積:100,000m3 搭載機器:250kg

B08-04 小型インフレータブル柔構造飛翔体の展開及び飛行実験

地球周回軌道上及び惑星間空間からの帰還回収システムや、惑星探査などにおいて、空力加熱を緩和し、飛行の安全性や信頼性を向上させることができると期待されている低弾道係数(=軽量大面積)柔軟膜構造型大気突入システム開発の一環として行われるものである。飛行体は高高度で気球から切り離された後、ボンベからのガス注入により浮き輪型のフレームを膨張させる。同時にフレームに張られた膜面も展開し、軽量かつ大面積の飛行体となって、効率よく減速して低速度で安全に落下する。本飛行実験により、このようなインフレータブル柔構造宇宙飛翔体の展開技術や、飛行中でもこわれない膜面飛行体の設計技術が実証される。
【使用気球】満膨張体積:2,000m3 搭載機器:20kg

B08-05 気球を使った無重力実験(その3)

無重力状態での物理現象は、科学的に非常に興味ある対象だが、地球上で無重力状態を実現するためには、実験装置を重力に従って自由落下させる必要がある。実験時間を長くするためには、高い高度から落下させる必要があり、我々は、大気球を使って高度約40kmから実験装置を落下させる方式を開発した。高々度では空気は非常に薄くなっているが、速度が速くなると空気抵抗が無視できなくなり、完全な無重力状態でなくなってしまう。そのため、無重力実験を行う部分を落下する機体の中で浮かせて、実験部が機体の内壁にぶつからないように機体を制御することにより、良質な無重力環境を実現する。今回は3回目の実験であり、重力のかかった状態では観測が難しい液体の“濡れ性”の本質に迫る実験を行う。
【使用気球】満膨張体積:300,000m3 搭載機器:400kg

B08-06 ソーラー電力セイルの展開総合実験

空気抵抗の小さい高高度環境において、ソーラー電力セイルを展開し、評価する。
膜面は、厚さ7.5μm・差し渡し20mの正方形で、内側に薄膜太陽電池セルが取り付けられている。地上で膜面を展開機構に収納しておき、上空でスラスタによってスピンアップした後に、2段階に分けて膜面を展開する。この様子を複数のカメラで撮影するとともに、各種データを取得し、数値解析結果と比較・検証する。本実験では、実機を想定した膜面・展開機構を用い、収納・展開の方法・手順も極力一致させることで、一連のプロセスを総合的に評価する。
【使用気球】満膨張体積:300,000m3 搭載機器:600kg

2008年5月8日

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