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イトカワの「北」はどちらか?

宇宙には上も下もありませんが、天体上には南北があります。イトカワでも、地球と同様に自転軸と表面が交差するところが極となりますが、2つの極のどちらが北極でどちらが南極になるのでしょうか?

地球の自転軸を「北」側にまっすぐに伸ばしていくと、その先に北極星があります。北側から太陽系を見下ろすと、惑星は反時計まわりに公転しており、地球は公転面に対して 23.5 度傾きながら、やはり反時計まわりに自転しています。一方、金星の自転軸は地球とは逆向きになっています(図1)。惑星では、軌道面よりも北極星側にある極を、北極と定義しています。

図1

ところが、この定義を小惑星にそのまま適用しようとすると、困ったことが起こります。図2は、小惑星の自転軸の方向の分布を示しています。右端の90度に近い方は地球のような順回転、左端の-90度に近い方は金星のように逆回転をしているわけですが、その中間の自転軸が「横倒し」になっている小惑星も数多く存在することがわかります。実際, NASA の NEAR/Shoemaker 探査機が調査したエロスは、自転軸が横倒しになっている小惑星の一つです。

図2

最近になって、自転軸の方向が時間とともに変化する小惑星が発見されています。「横倒し」の小惑星の自転軸の向きが変動する場合、前述した惑星用の定義をそのまま採用すると、南北が逆転しまう可能性があります。そこで、国際天文学連合は 2003 年に小惑星の南北を決めるための新しい規則を制定しました。右手を軽く握り親指をたててみてください。親指以外の指の、爪の方向に向かって天体が自転しているとします。この時、親指の向く方を「北」とする、というのが新しい定義です。ただし、この定義を逆回転している金星などに適用すると、いままでと南北が逆になってしまいますので、対象となるのは小惑星や彗星だけです。

すでに発表されている画像や、アニメーションを見てみましょう。 これまでの JAXA の発表では画面の上を北極星側にしているので、イトカワの自転は地球とは逆向きであることがわかります。イトカワは小惑星ですから、新しい「右手ルール」が適用され、北極は図1の下側ということになります。

現在、「はやぶさ」チームはイトカワの地図を作成しています。この地図では「北」が上になってますから、画像と比べる時には注意が必要です。日本が作成する最初の地球外天体の地図の上には、サンプル採取地点、ミネルバの降下地点、そして88万人の名前が刻まれたターゲットマーカーが落下した地点などが記述されることになります。

2005年10月31日

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